F1の新たな取り組みとしてATA(Alternative Tyre Allocation)というルールが試験的に導入されているようですが、なんかパッと見鈴木亜久里のレーシングチームと勘違いしそうになってしまうんですがなんとかなりませんか。そんなワケで、F1ハンガリーGP予選のお話。
- 予選結果: FORMULA 1 QATAR AIRWAYS HUNGARIAN GRAND PRIX 2023 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: 2023 Hungarian Grand Prix qualifying report and highlights: Hamilton beats Verstappen and Norris to Hungarian GP pole in qualifying thriller | Formula 1®
- 予選後各チームコメント: What the teams said – Qualifying at the 2023 Hungarian Grand Prix | Formula 1®
- 予選後記者会見: F1 - 2023 HUNGARIAN GRAND PRIX - POST-QUALIFYING PRESS CONFERENCE TRANSCRIPT | Federation Internationale de l'Automobile
いつもとはちょっと様相の違う予選になりましたが
今回はフェルスタッペンの連続ポールが途切れたり、フェラーリがなんだか低迷気味だったり、昨年のポールシッターだったラッセルがまさかのQ1ノックアウトを食らったりと、なんだかちょっと波乱含みの予選となりましたね。今回導入されているATAというルールによってQ1はハード、Q2はミディアム、Q3はソフトでアタックしなければならないという形になっており、その影響もあったのか……と思いきや、ATAが原因で順位がおかしくなった、みたいな指摘をしている人は特に居ない感じだったりもします。
ラッセルがQ1ノックアウトを喫してしまった原因は最終セクターで発生していた大渋滞であり、さらにドライバー間の紳士協定が破られまくってしまう状況でラッセルが割りを食ったのがいけなかったですね。まー紳士協定はあくまで紳士協定なので、誰が悪いとはなかなか言いづらい気はします。予選後のトップ3記者会見でも、紳士協定破りは仕方ない場合もあるよね、みたいな感じになってますね。ハミルトンなんかは、「ドッグファイトだった。とてもクールで楽しかった」みたいなコメントもしてますし。
ただ、最終セクターの渋滞についてはアタック中のマシンを妨害するようなケースもありますし、大きな接触事故に発展するリスクも考えられる状態なので、これなんらかの対策が必要な気もしますが。
ラッセルが18番手で終わる一方で、ハミルトンがポールポジションを獲得するという極端な展開になったメルセデスですが、トラブルとかペナルティ無しにチームメイト間でこれだけの順位の開きが発生するってちょっと珍しいのでは。ハミルトンとフェルスタッペンのタイム差は0.003秒というまさに紙一重の差でしたが、再びメルセデスがポールポジションに帰ってきたのは嬉しいところ。元々チームもハミルトンもこのサーキット得意としてますしね。
フェルスタッペンはマシンのセットアップが上手く行かなかったことをボヤいている感じですが、逆に言うと彼はここまでのシーズンが上手く行き過ぎていたので……。ただ、これだけチャンピオンシップで圧倒的なリードを築いていながらも、「フロントロウで満足だよ」みたいなコメントをしないところがフェルスタッペンらしい。彼は常にトップしか見てないんですよね。
また中段グループの様相が変わる?
今回予想外に速かったのがマクラーレンとアルファロメオ。中でもアルファロメオはびっくりしました。いやだって前戦までめっちゃ地味なポジションをウロウロしていたから(失礼)。このレースでマシンが大きく変わったというワケではなく、イギリスGPで投入したアップデートをより進化させ、ここのコースレイアウトに上手くマッチした、という感じみたいですね。
それにしても、今シーズンQ3進出もほとんど無かったチームが2台が揃ってシングルグリッド獲得、周に至ってはキャリアハイの5番手というのはすごい。周はQ1ではトップタイムまで記録してますからね。コースとの相性がいいと言っても、ここまで化けるか?という感じ。決勝でどこまで順位を守れるかが気になりますが、あと他のコースではどうなるのか、というのも気になるところ。
マクラーレンはイギリスで大活躍だったものの、ハンガリーはシルバーストーンに比べ低中速のコーナーが多く、マクラーレンのマシンとは相性が良くない……と思ったらまた予選で大活躍。近年のF1マシンだとハンガロリンクでもかなり高いアベレージスピードで走れるというのもあるのかもしれませんが、ノリスとピアストリがセカンドロウに並んだのはこれまた驚きでした。これピアストリの評価も高まってきそうですねえ。決勝レースも路面温度が高いコンディションが予想されますが、そうなった場合マクラーレンのレースペースがどうか、というのも気になるところ。もしマクラーレンがこの調子を維持できるのなら、後半戦に向けてかなり面白い存在になりそう。
相対的にアストンマーチンがやっぱり苦戦している印象ですが、それでもアロンソが8番手につけているのはドライバーの力なんだろうなあ……。
リカルドはどこまで行けるか
デ・フリースがわずか10戦で解雇となってしまい、空いたシートからF1に復帰することになったダニエル・リカルドですが、復帰初戦で13番手というのはかなり上出来な感じに見えます。リカルドにとっては古巣の空気の中、昔組んでいたエンジニアとシミュレーションやったりして以前の感覚を取り戻せてきたというのも大きいんでしょうね。あと、いい意味で吹っ切れてプレッシャーから開放されているのかも。
角田もリカルドにタイムで負けているワケではありませんが、Q1の最後のアタックでタイムを伸ばせなかったことでノックアウトになってしまいました。ほんとあのアタックが決まっていれば全然展開が違っていたと思うんですが……。角田にしてみれば、リカルドと組む最初の予選でチームメイトの前に出たかったんじゃないかと思うんですが、彼にとっては悔いの残る予選になってしまいました。
アルファタウリにリカルドを起用したのは、当然レッドブルのペレスの後釜として使えるかというテストの目的もあるでしょうし、逆にペレスに対してプレッシャーをかける意味もあるんでしょう。それと同時に、角田に対するテストでもあるのかもしれません。角田にとっては、今シーズンのこれから、どれだけリカルドの上を行けるかを試されているとも言えるでしょう。レッドブルの人事は相変わらずエグい。
ペレスは今回久しぶりにQ3に進出できましたが、しかし9番手で終わってしまったことを考えると上出来とは言い難いですよね。FP1では早々にクラッシュして走行できなかったし。レッドブルの首脳陣はペレスとの契約を打ち切るという噂を否定していますが、表彰台に登れないようなレースがこれからも続く場合はシーズン中はともかく、来年はリカルドをレッドブルのシートに乗せることを考えていそうな気はします。もしリカルドがめちゃ好調なら、シーズン中という可能性もあるような……。