大須は萌えているか?

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F1[23] ハンガリーGP 決勝

これレッドブルのシーズン全勝とかっていう可能性が見えてきたりしてるんですかね……?とある意味不安にもなってくるようなレースでした。F1ハンガリーGP決勝のお話。

一番の見どころはシャンパンファイトだった

ハンガリーGPのトロフィーって地元名産の陶磁器なもんだから、そのうち誰か落っことして割っちゃったりすることないのかしら……って想像したことはありましたけど、まさかこんな形で破壊されるとは。しかも優勝したフェルスタッペンのトロフィーが。

ハンガリーは磁器が有名な国のひとつで、ハンガリーGPの1位から3位のトロフィーと、優勝チームに送られる器も磁器メーカーのヘレンドが監修したモノ。白い陶器にはいくつもの花や蝶、鳥があしらわれ、金の装飾が随所に施されていた。  トロフィーについてヘレンドは次のように説明している。 「花柄、蝶柄、鳥柄で装飾され、持ち手、底面、縁に透かし彫りが施され、模様の輪郭と細部が金彩ではっきりと表現されたこの特別なカップは、製作に6ヵ月を要した」

via: ノリス、フェルスタッペンの優勝トロフィーを破壊。「誰か接着剤持ってない?」とのレッドブルに日本の“金継ぎ”で対応!?

これが並の人間であれば壊してしまったことに対していたたまれないような気持ちになってしまうんじゃないかと思うんですが、犯人のノリスはそのまましれっとシャンパンファイトした挙げ句、口元を手で抑えながら笑いをこらえているあたりが只者ではありません。これくらいでないと、F1ドライバーは務まらないのでしょう(?)。挙げ句、記者会見では「マックスが表彰台の縁ギリギリのところに置いておくからだよ!」みたいなコメントもしているし。しかしそれすらノリスらしいと思えてしまう彼のキャラクターがまた。

Q: Lando, coming to you next. First up. Max’s trophy. What happened there on the podium.

LN: I’m not sure. Yeah. I’m not sure. Max just placed it too close to the edge!

MV: I’m going to take it off next time.

LN: Yeah, just hold it. I don’t know. It fell over, I guess. Not my problem. It’s his!

via: F1 - 2023 HUNGARIAN GRAND PRIX - POST-RACE PRESS CONFERENCE TRANSCRIPT | Federation Internationale de l’Automobile

いやしかし、これ実際問題としてどのように落とし前をつけるのだろう……。

ともあれフェルスタッペンは別カテゴリーです

予選でハミルトンがポールを奪い、そして偶数列側はスタートでやや不利になると言われるこのハンガロリンクなので、スタートでフェルスタッペンが出遅れたりしたらちょっと面白い展開になるかなーと期待していたんですが、スタート後数秒でその期待は打ち砕かれました。なんでそんな簡単にトップに躍り出てしまうん。

一度前に出てしまったが最後、フェルスタッペンは完全にレースをコントロール下に置いてましたね。終わってみれば2位のノリスに33秒差、完勝といって良いレースでした。これでレッドブルは昨年の最終戦から12連勝というF1新記録、今年の開幕からも11連勝という驚異的な勝ちっぷり。なんか、シーズンの完全制覇も見えてきたんじゃないかという気すらします。もしそれを妨げる要素があるとするならば、フェルスタッペンのマシンに致命的なトラブルが起きるくらいしか無いんじゃないでしょうか。

ていうか、フェルスタッペン個人でも7連勝ですからねえ。こちらはまだベッテルの9連勝という記録がありますが、今のフェルスタッペンならこれも塗り替えてしまいそう。これ下手したら鈴鹿より前でタイトル決まっちゃうんじゃないかという気がしますが、そこはなんとかペレスに頑張ってもらうしか。来年から鈴鹿が春開催になるので、鈴鹿でタイトル決定シーンが見られる可能性があるのっておそらく今年が最後なんですよね。

ハミルトンがポールだったので、メルセデスの表彰台も期待したんですけどねー、結果としては届かず4位。後半にかけてハミルトンがチャージしてきていましたが、ちょっと手遅れでしたね。レース後半になるにつれマシンバランスが良くなっていたみたいですが、未だにメルセデスはマシンの一貫性を保つのに苦労している様子。良い兆しが見えつつも、決勝レースのパフォーマンスというところを見るとまだ優勝に手をかけるところまでは遠い……という感じでしょうか。

表彰台に手が届かないピアストリ

予選でノリスに次ぐ好パフォーマンスを見せたピアストリ、決勝レースでもスタートを上手く決めて序盤は2番手でレースを進めていましたが、最初のピットインのタイミングでチームはピアストリの後ろを走っていたノリスを先にピットに呼び込み、その翌周にピアストリをピットインさせました。しかし、ここでノリスがピアストリのアンダーカットに成功し、その後ピアストリはペレスとハミルトンに対してもポジションを失うことになり、結果として5位フィニッシュで終わることに。

前戦に続いて表彰台も狙えるような好パフォーマンスを見せたのが印象的でしたが、通常であれば前を行くピアストリのピットを先にしているはずのところが、ノリスを優先したチームの判断に対して批判も出る格好に。これに対してチームはハミルトンのアンダーカットを警戒して、よりハミルトンに近い位置に居たノリスを優先したというコメントをしていますね。

ノリスが連続表彰台「酷評は間違っていたと証明」マクラーレンはピアストリへの同情の声に対し弁明/F1第12戦 | F1 | autosport web

その判断はまあ間違っていないようにも聞こえるんですが、しかしハミルトンのアウトラップはノリスに対してそこまで速いものでも無かったし、ピアストリを先に入れる余裕だってあったんじゃないの、という見方もできちゃいそうには見えますけどね。ノリスがピットに入った周のセクター2のタイムだけでハミルトンに対して1秒速かったですし、ノリスはピットアウト後ハミルトンの5.8秒前でコースに復帰してますし。

ていうか、ノリスはこのピットイン前後のラップをかなりプッシュすることで2位を手に入れたとも言えるワケで、ここは勝負どころを見極めて適切にプッシュして見せたノリスの判断力が素晴らしかったというコトでしょう。ていうか、このときのアウトラップは確かにめちゃくちゃ速いですね。

さらに、ハードタイヤに履き替えたあとのピアストリのペースがあんまり良くなかったんですよね。ノリスにはじわじわ離されていくし、ハミルトンからはじわじわプレッシャーをかけられる展開になっちゃった。ここでノリスに付いていくことができていたら、また結果は違っていたのかもしれません。ここらへんのレースペースにはまだ課題がある感じでしょうか。しかし、彼がルーキーであるということを考えると、かなり驚異的な走りっぷりだと思いますけどね。

このハンガリーでもマクラーレンのパフォーマンスが極めて高いことが証明されたので、ここからマクラーレンがどこまで伸びてくるのかちょっと面白くなってきましたね。次のスパなんて中高速コーナー主体のサーキットなんだから、それこそマクラーレンが得意なハズのコースですし。記者会見ではフェルスタッペンがノリスに対して

MV: You will fly in Spa. Everyone should go and stand in Pouhon, because you will be flat.

LN: One-handed. Blindfolded as well.

MV: Take your rear wing off.

LN: I don’t need it. It doesn’t do anything!

via: F1 - 2023 HUNGARIAN GRAND PRIX - POST-RACE PRESS CONFERENCE TRANSCRIPT | Federation Internationale de l’Automobile

なんていうジョークを言い合ったりしていたようですが、プーオンってスパのミドルセクターにあるベタ踏み高速コーナーなので、そこでのマクラーレンは離陸しちゃうくらい速いだろう、というニュアンスでしょうか。これでフェルスタッペンが軽口を言えなくなるくらいホントにマクラーレンが速かったりすると面白いんですが……。

そのほか

予選であっと驚く速さを見せたアルファロメオでしたが、決勝ではねえ……やっちまいましたねえ……。特に周冠宇は、スタートで大失敗をしてしまった挙げ句、遅れを取り返そうとブレーキングを遅らせたらリカルドに軽く追突する形になり、そのリカルドが玉突きのようにオコンにぶつかり、そしてオコンがガスリーにぶつかってアルピーヌ全滅という展開にまで発展してしまったのはなんだかなあ、という感じ。しかしそういえば、チームメイトのボタスもメルセデス時代にここの1コーナーで追突して多重クラッシュの原因になったりしたことありましたね。

結局アルファロメオは2台共入賞圏外でレースを終えることになってしまい、千載一遇のチャンスを逃す格好に。結局トラフィックの中に埋もれて終わってしまった感じなので、あの予選の速さとはなんだったのか、という気分になってしまいます。

角田はソフトタイヤスタートが上手くハマって一気にポジションアップできたものの、なんか全体的にアルファタウリのピット戦略が謎でしたね。最初のスティントは11番手を走っていて、すぐ前に同じくソフトスタートのストロールがいる格好でしたが、ストロールとまったく同じタイミングでピットに呼び込む形に。なんか普通だとここは「ストロールの逆をやれ」って言うところじゃないかと思うんですが、ぴったり合わせちゃいました。まあDRSトレインに捕まっている状態だったので、逆をやってもメリットが無いと思ったのかもしれませんが。

ただ、結果としてピット作業をミスって大きくタイムロス。

ハードタイヤを履いた第2スティントは大きく引っ張る作戦に出ましたが、これもタイムを失うだけの結果に終わっちゃいましたね。セーフティカーなりVSCなりの出動を期待したギャンブルなのかもしれませんが、そもそもセーフティカー出動の期待値が低いサーキットでやる作戦では無いような気がします。角田より先に2回目のピットを終えた面々が明らかに良いペースで走っていたので、角田がタイヤ交換したあとは大きくタイム差を付けられている格好でした。なんかチームとしても、最初のピットでミスってしまった時点でどうして良いかわからなくなっていたんじゃないかという気もします。

結果として復帰戦のリカルドにも負ける格好になってしまったのは残念ですが、まあ今回は実力で負けたというワケでは無いかなと思います。まー角田自身の流れがどうにも良くなってこないのが気がかりではありますが、リカルドからもいろいろ吸収しながら空気を変えていって欲しいところ。