大須は萌えているか?

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F1[22] ハンガリーGP 予選

夏休み前の最後のレース、とはいえ3週間の休み明けにはすぐに3連戦があるんだからなかなか鬼畜なスケジュールですよね。なお、私の夏季連休の予定は完全に白紙です(人が密にならない場所にふらっと出かけたい気はするけど……)。そんなワケで、F1ハンガリーGP予選のお話。

フェラーリが予選を制圧するのかと思いきや

金曜日のセッションはサインツルクレールがそれぞれトップタイムを記録して、フェルスタッペンもドライコンディションではフェラーリが有利かも、なんてコメントをしているもんだから、そのままフェラーリが突っ走る展開になるのかな……なて思っていたんですが。

土曜日のFP3はウェットコンディションとなり、金曜日の流れが一度リセットされる格好に。しかもトップタイムをマークしたのがウィリアムズのラティフィ……ってなんだそりゃ。セッション最後のほうで路面が改善傾向に向かっていたというのもあるのかもしれませんが、それにしてもラティフィがトップタイムはちょっと予想の斜め上過ぎました。しかもアルボンも3番手に入っているし。ウィリアムズのセットアップが、たまたまFP3最後のほうのコンディションと奇跡のマッチングを果たしてしまったのかもしれませんが、思いもよらぬコトが起きるもんだなあ……と。

予選は雨雲がずっと出ている状態ではあったものの、ドライコンディションで開催されたためそこまで大きな番狂わせはないのでは……と思っていたら、メルセデスラッセルがポールポジションを獲得するというまさかの展開。ラティフィほどのインパクトは無いにしても、メルセデスがまさか予選でトップタイムを叩き出すとは思っていませんでした。メルセデスはタイヤの温まりの悪さに定評があるので、路面温度が低いこのコンディションでここまでタイムが伸びるというのもビックリでした。

タイミングアプリで改めてメルセデスのアタックを見てみるとちょっと面白くて、Q1は最初のタイヤセットでクールダウンを1周ずつ挟みながら3回アタックを行い、都度タイムを上げていっているんですね。そのあと一度ピットに入り、ニュータイヤを履いて再度アタック、一発でハミルトンとラッセルがセッション1-2タイムを記録。タイヤの使い方については、レッドブルも同じような形でしたね。ただ、レッドブルは2回めのランでニュータイヤを投入せず、同じセットのタイヤを使いまわしてましたが。フェラーリも1セットのタイヤでQ1を切り抜けており、中継でソフトのセット数に余裕が無いのでは?なんて話も出てましたね。実際問題、フェラーリはQ2でもユーズドタイヤで1回目のアタックを行っていますし。

Q2ではハミルトンとラッセルともに3周オールドのタイヤを履いて最初のアタックに臨み、ニュータイヤを履いていたフェルスタッペンから1秒以上遅いタイム。8周オールドのタイヤを履いていたフェラーリよりもわずかに遅かったので、あんまりパッとしない感じ。

2回めのアタックではハミルトンとラッセルともにニュータイヤを履いて出撃、フェルスタッペンに対して0.3~4秒落ちのタイムを記録。このあとニュータイヤで2回めのアタックを行ったフェラーリ勢はこれを上回るタイムを出し、ついでにいうとアロンソフェラーリ勢の間に割って入るタイムを記録していたため、この時点でもメルセデスがポールを取るような気配はありませんでした。

Q3最初のアタックはハミルトンとラッセルともにQ2で使ったユーズドタイヤを使用、ニュータイヤでトップタイムを出していたサインツに対してラッセルが0.4秒差、ハミルトンが0.6秒差のタイム。Q2最初のアタックでユーズドを使ったときより、トップとのタイム差がかなり削れてますね。この時点では、フェラーリが1-3、メルセデスが2-4という形。フェルスタッペンはミスがあり7番手。

そしてQ3最後のアタックで、ラッセルがサインツを逆転してポールポジション。Q3最初のアタックでメルセデスがかなり良さそうな感触ではありましたが、それでもフェラーリを逆転するというのはかなり意外な展開でした。実のところ、ポールを獲得したラッセルのタイムってセクター別で見てみると全体ベストが1つも無いんですよね。じゃあなんでポールを穫れたかっていうと、最終アタックのセクター2でサインツがタイムロスをしており、1回めのアタックから0.01秒程度しかタイムを上げられなかったというのが大きい気がします。一方で、ラッセルはニュータイヤ効果もあって0.6秒近く上げてますからね。

加えて、ルクレールサインツに比べてタイムが伸び悩んでいたっていうのもありますね。ルクレールはQ3の2回めのアタックで0.4秒くらいタイムを上げていますが、それでもサインツには届いていませんし。そしてフェルスタッペンはパワーロスのトラブルがあり、2回めのアタックを走れなかったというのももちろんあります。フェラーリレッドブルが共に十分なパフォーマンスを発揮できなかった、というのはメルセデスがポールを獲得できた大きな要因だったのは間違いなさそう。

ただ、今まで予選でかなり苦戦してきたメルセデスが、このハンガロリンクではフェラーリレッドブルとかなりのところまでやり合えるレベルになっていたのは事実で、これはかなりポジティブな話なのは間違いないですね。ルクレールはタイヤをワーキングレンジに入れるのに苦労した、なんていう話もしていたので、フェラーリのセットアップが土曜日の路面温度に対してあまりマッチしていなかった、というのもありそうですが。メルセデスのセットアップが、この予選のコンディションに対してたまたま上手くハマっていた、というコトなのであれば、決勝の展開は路面温度で大きく左右されたりするのかもしれません。金曜日のラティフィといい予選のラッセルといい、タイヤの力をうまく引き出すコトができれば思わぬ展開があり得る、っていう好例になりましたね。

ラッセルが好タイムを刻んでポールを獲得した一方、それまでラッセルと同じくらい調子が良さそうに見えたハミルトンが7番手に沈んでしまったのはちょっと不思議な感じもしますが、コレQ3最後のアタックでDRSが作動しないトラブルに見舞われていたんですね。

My DRS stopped working, which was frustrating after all the struggle we had to finally have the chance to fight for front row but then not being able to, because of the issues with the DRS.

via: Lewis Hamilton : What the teams said - Qualifying at the 2022 Hungarian Grand Prix | Formula 1®

場合によってはメルセデスのフロントロウ独占とか見られたかもしれないと思うとちょっと残念……。

同様に最後のアタックでトラブルに見舞われたフェルスタッペン、1回めのアタックでのミスが高くついちゃいましたね。1回めのアタックでサインツくらいのタイムを出しておければ、2列目には居られた可能性が高いのに……。

アルピーヌとマクラーレンの争いも面白そう

今回、フェラーリメルセデス以外でQ3に2台のマシンが進出できたのがアルピーヌとマクラーレンマクラーレンが2台揃ってQ3進出できたのはイモラ以来。アルピーヌはカナダ以来なのでそこまで久々ってワケでもないですが、2台ともがトップ6圏内というのは今季初めて。オコンはQ1・Q2ともにアロンソの後ろでしたが、最後の最後にわずかにアロンソを逆転したっていう。ここんとこアロンソの奮闘ぶりに目を奪われがちですが、シーズン序盤から堅実にポイントを積み上げているオコンのほうがドライバーズランキングでは上。

そして忘れてはいけないのが、昨年ここで優勝しているのはこのオコンであるという点です。……いやちょっと忘れかけていたけど。アロンソのアシストも光るレースでしたが、今年はそういう番狂わせが決勝でもあるのか、ちょっと楽しみなところではあります。しかしオコン、優勝を経験したあともなんか地味な感じがするのはなんなんだろう……いや実力のあるドライバーではあるのだけど……。

アルピーヌとコンストラクターズ4位を争っているマクラーレンとしても頑張りたいレースでしょうが、今週末ノリスが非常に調子良さそうですね。予選4番手も今季ベストタイ。マクラーレンの辛いところは、リカルドがなかなかノリスのポジションまで上げてこられないっていう点かとは思いますが、リカルドはここである程度のポイントを稼いで気持ちよく夏休みに入りたいところでしょうねえ。

リカルドの来季を巡ってはマクラーレンを首になるのでは、っていう噂が絶えませんが、先日リカルド本人がこれを否定するコメントを出し、さらにマクラーレンアンドレアス・ザイドルもそれを追認するようなコメントをしたというコトで火消しを図っている様子。

リカルドの”マクラーレン残留”メッセージをチーム代表が追認「驚くことではない」

ただ、そもそも噂の発端がザク・ブラウンの発言だったというコトを考えると、なんだかまだキナ臭い雰囲気も漂ってはおりますが。マクラーレンは昨年インディカーでタイトルを獲得したアレックス・パロウを獲得したと発表し、現在パロウが所属しているチップ・ガナッシがこれに反論して法廷闘争にまでなっているようですが、このパロウもリカルドの後釜候補と見られているのでなんとも気になるところ。

「パロウから“F1行き”のチャンスを奪うのは遺憾」法廷闘争に発展した契約問題……パロウ側弁護士がチップ・ガナッシを批判

もちろん、リカルドが2023年もチームに残り、2024年で入れ替えるっていう可能性もあるワケですが。ここからリカルドが目覚ましい活躍を見せることができれば、こうした契約の噂もかき消されていくんでしょうけども。

ベッテル引退

今週末の一番大きな話題といえば、ベッテルが引退を発表したコトでしょうね。

BREAKING: Four-time champion Sebastian Vettel to retire from Formula 1 at the end of the 2022 season | Formula 1®

ベッテルが雨のモンツァで初優勝して、そこからレッドブルに移籍してあれよあれよと4連覇を達成したときには「こいつどこまで勝ち星を重ねていくんだ……」と驚いたもんですが、まさかその後は一度もタイトルを獲得することなく引退することになるとは思いもしませんでした。とてつもなく早熟型の天才だったなあという印象を持ちますが、レッドブルを出ていってからのベッテルはどこか精彩を欠いていたようにも見えます。フェラーリではライコネンと組んでいるときはまだ良かったんだけど、チームメイトがルクレールになるとガタガタに。レッドブルの最終年もリカルドと組んで負けてますし、自分より若い活きの良いやつがチームメイトになると駄目になっちゃう感じなんでしょうか。

キャリアの最初でとんでもない絶頂を味わってしまうと、その後のモチベーションを維持するのは大変なのかなあ……なんて思ったりもしますが、しかしハミルトンとかアロンソはいまだ高いモチベーションを維持してますからね、まあ人によるのかも。もちろん、ハミルトンもアロンソもいろんな紆余曲折がありながら、F1ドライバーとしてのメンタルを鍛え上げていったんでしょうけどね。あとベッテルの場合は、レース以外にもいろいろやりたいコトが増えてきたっていのもあるのかもしれませんね。環境問題への関心もかなり高いようですし、家庭も持っていますし。

レッドブルでイケイケの時代は、かの「マルチ21事件」なんかもあったりして「傲慢な若者」というイメージもありましたが、今やサーキットでもナイスガイのイメージが強いですよね。今回も、FP3でクラシュしたあとにメカニックを手伝ったりするシーンもありましたし。家族をサーキットには連れてこなかったり、今までSNSを全然やっていなかったりと、公私の区別をキッチリしているのも印象的でした。それくらい徹底して線引きしないといけない、というのは、ある意味ベッテルの不器用さの現れであるようにも見えます。今はInstagramを始めているみたいですけど、それはF1ドライバーとしての自分に区切りが付いたからなのかなあ、とも。