大須は萌えているか?

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F1[14]マレーシアGP 決勝

めっちゃ良い天気でしたね。F1マレーシアGP決勝。

決勝結果:
2014 FORMULA 1 PETRONAS MALAYSIA GRAND PRIX - The Official F1 Website

決勝後ドライバーコメント:
Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website

決勝後記者会見:
FIA post-race press conference - Malaysia - The Official F1 Website

荒れませんでした

決勝も雨の予報が出ていたもんだから、マシンコントロールに四苦八苦してコースを飛び出すドライバーが続出したり、思わぬマシントラブルが出たりしてサバイバルレースの様相を呈するのかなぁ、なんて思ってたりしたんですが、ふつーにドライコンディションのレースでしたね。

しかも、トップ集団に於いてはそこまで激しいバトルも無く、セーフティカーが出るコトも無く、粛々とレースが終わってしまった感が。そして結果的にはメルセデスの1–2フィニッシュという、非常に順当な結果に落ち着いたのでした。まーメルセデスが強いのは良いことなんですけど。ええ。

予選2番手を獲得していたベッテルは、スタートで順位を落としたものの、最終的には今季初の表彰台フィニッシュ。ハミルトンには25秒近い差を付けられたものの、ロズベルクに対しては約7秒差と、展開次第ではメルセデスの一角を崩せるかも……というくらいのところには来ました。

現状、ルノーパワーユニットメルセデスに比べて明らかにパワー負けしている状態ですが、そんなパワーユニットでありながらこの差というのは、案外悪くないのかもしれません。ただそうなると、あとはルノーの開発力次第というコトになっちゃうんですが。今後、レッドブルルノーにプレッシャーを掛けまくるんでしょうねぇ。

しかし前回とは打って変わって大きなトラブルなく表彰台を獲得したベッテルとは裏腹に、今度はリカルドが散々な目に遭ったレースでもありました。ピットでのタイヤ交換時、左フロントのナットがはまっていない状態でピットクルーがジャッキを降ろしてしまい、リカルドはそのまま発進。少しピットレーンを走って異常に気付き、マシンを止めたものの時既に遅し。アンセーフリリースで10秒のストップ&ゴーペナルティを食らうコトに。

ウェバーさんに対しても同じようなコトやってたよね、レッドブル……。普段はかなりの早業で鳴らしているピットクルーだけに、少し歯車が狂うと大変なコトになってしまう、という感じでしょうか。

その後リカルドは縁石に乗り上げた際にフロントウィングを破損し、さらに順位を落とすコトに。最終的には、ピットにクルマを戻しリタイヤとなってしまいました。……と、それでもまだ話は終わらず、アンセーフリリースの件で次戦バーレーンでも10グリッド降格ペナルティを食らうコトに。厳罰化の影響でしょうが、それにしても厳しいですねコレ。

Ricciardo given 10-place Bahrain grid penalty - The Official F1 Website

これチャンピオンシップを争う上ではかなりの痛手になるのは間違いないワケで、ピット作業に於いて確実性とスピードをどのように両立させるかは各チーム重要な課題になりそう。

ウィリアムズのチームオーダー問題

今回のレースで一番注目を集めたかも知れないのが、レース終盤に争っていた2台のウィリアムズ。チームがマッサに対し、後ろを走るボタスを先に行かせるよう無線で指示したところ、マッサはこれを無視。結果的にマッサ7位、ボタスは8位でフィニッシュ。

元々、マッサは前を行くバトンを攻めていたものの、仕留めきれないままマシンがオーバーヒート気味になってしまったため、少し間隔を開けて走行してたんですね。そこにボタスが追いついたため、チームとしてはマシンに問題の無いボタスを先に行かせ、バトンと戦わせたかったという状況。

まーこの手のチームオーダー問題はどこでもついて回る問題ですが、少しでもポイントを稼げる(可能性のある)作戦を取りたいというチームの考えは理解できますし、今回のチームオーダーも「そりゃまーそうなるな」と思ったんですけど。

しかし、マッサにしてみれば違う考えだったようです。

僕は自分のレースの中で最善を尽くしたと思う。最後まで戦い、チームと自分のためにできるだけ多くのポイントを稼ごうとした。それにまだシーズン2戦目だ。

バルテッリは僕を抜くことができなかったんだから、ジェンソンを抜くのも難しかっただろう。僕らは違う戦略で走っていたわけじゃない。彼(ボッタス)は僕のすぐ後にピットストップをして、タイヤの状態は少し僕よりよかったけれど、それでも僕を抜けるほどではなかったし、ジェンソンを抜けるほどでもなかった。

via: マッサ「チームの指示を無視したのは正しい行動」 - AUTOSPORT web(オートスポーツweb)

チャンピオンシップの掛かったレースならまだしも、シーズン序盤戦で何言ってんだと。オマケに、俺を実力でパスできないヤツがバトンを抜けるワケないだろと。いやまぁ、それはそれで正論なんですけど。

ただ、まずチームにしてみれば、レースペースでそこそこアドバンテージがある今こそ、ガッチリポイントを取っておきたいという思いはあるでしょう。開発の伸びしろが大きいシーズンだからこそ、ウィリアムズがそのアドバンテージをどこまで保持できるかわからないワケですから。フェラーリほどの資金や開発力があるワケでも無いですし。

んで、チームメイト同士でバトルやらせてタイヤとガソリンを浪費するよりも、サクッと譲らせて少しでも良い条件でライバルチームに挑ませたいというのもあるでしょう。正直、チームの指示が変だとは思わない。

フェラーリみたいな優勝争いを期待されるようなトップチームなら「6位争いくらいでチームオーダーって何考えてるんだ」って話にもなるんですが、去年あまりにも散々だったウィリアムズにしてみれば実に貴重なポイントです。中堅チームは特に争いが激しく、ちょっと気を抜くとコンスタントラクターズの順位追い抜かれちゃいますし。そうなるとチームへの分配金も目減りしちゃいますし。マルティーニというタイトルスポンサーを獲得した今でも、ウィリアムズの懐事情は苦しいと言われており、少しでも多くのポイントを確実に拾って行くというのは、チームにとって非常に重要なワケです。

マッサもなんとなくその辺は理解してるんじゃないかなーとは思うんですが、ただやはりマッサにしてみればボタスみたいな若造に譲りたくないっていうのと、フェラーリ時代の感覚が抜けてないのかなぁと。レーサーの心理としては非常に正しいとは思うんですが、ただまーチームオーダーに逆らうというのはそれだけチームの心証を悪くする行為なので、やりすぎるとクビになるリスクも出てくるワケです。

自分の走りに自信があるならチームオーダーを突っぱねるのもアリですが、賢い選択では無いんじゃないかと。F1は個人の争いであると共に、チームの争いでもありますからね。まー、この先バンバン表彰台に乗るくらいの活躍すれば誰も文句言わなくなると思いますけどね?

ただ、ウィリアムズのエンジニアはこの指示について「チームオーダーではない」と発言しているみたいで、それはそれで「お前は何を言っているんだ」という話ではあります。

「それはチームオーダーではない。両車の相対的なパフォーマンスに基づく戦略的な決定ということだ」

via: チームオーダー否定のウイリアムズ「戦略的な決定」 - AUTOSPORT web(オートスポーツweb)

『両車の相対的なパフォーマンスに基づく戦略的な決定』ってチームオーダーじゃないんでしょうか。よくわからん。

そのほか

あと今回印象的だったのは可夢偉フリー走行全然走れていなかったマシンで13位完走は立派な成績と言って良いんじゃないでしょうか。走行距離も稼げたし、ここから信頼性を上げていければいいですねぇ。

特に今のうちはトラブルで脱落するマシンも多いため、最後までしぶとく走れればケーターハムでもポイントのチャンスが出てくるかもしれない。それだけに、今回最後まで走り切れた意味は大きいですね。

期待のルーキー・マグヌッセンは接触もあり伸び悩みましたが、9位フィニッシュでポイントゲット。トラブル無ければ、今回も結構バトンと張り合えていたかも。クビアトも10位フィニッシュで2戦連続のポイントゲット。大したもんです。

あとはやはりヒュルケンベルグ。決勝は得意な雨ではありませんでしたが、それでもフェラーリマクラーレンと争っての5位フィニッシュは見事です。メルセデス・カスタマーとしては最上位フィニッシュ。2ストップ作戦が決まりましたねぇ。

なんだかんだでレッドブルが思いの外速くて、フェラーリマクラーレンは思ったより速くないという感じで、なんか昨年と同じような戦力分布に収束していくんじゃないかという気がしないでもありません……が、長いシーズンは始まったばかりなので、今後の開発競争を楽しみにしたいと思います。