思いの外盛り上がる展開となりました。F1バーレーンGP決勝。
決勝結果:
2014 FORMULA 1 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX - The Official F1 Website
決勝後ドライバーコメント:
Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
決勝後記者会見:
FIA post-race press conference - Bahrain - The Official F1 Website
圧倒的すぎるメルセデス
案の定、メルセデスGP速かったですね。ていうか、速すぎましたね。いやだって、レースも終盤に差し掛かろうかというタイミングでセーフティカー入ったにも関わらず、そこからまた3位以下を24秒以上突き放すってね。メルセデスGPの2台とも、1周2秒くらい速いペースで走ってましたからね。完全に別カテゴリーのマシンと化してました。
ただ、その独走した2台のメルセデスが最後までギリギリのデッドヒートを演じたおかげで、レース自体は最後まで手に汗握る展開となったのは良かった良かった。なぜか国際映像はギリギリ最後までメルセデスの2台を映そうとしませんでしたけど。
途中何度か同士討ちかとヒヤッとする場面もありましたが、最後までお互い接触するコトなく、ペナルティを食らうような行為も無かったというのは、ハミルトンとロズベルグが「一流」である証明と言えるんじゃないかと。そして、お互い相手の腕前を知っているからこそ、遠慮無く攻められるというのもあるでしょう。
これが二流のドライバーだと、バトルでヒートアップしすぎて無茶な仕掛け方をしたり、相手の土手っ腹に突っ込んでしまったりしちゃうワケですよ。誰のコトとは言いませんけど。
最後10周になった段階で、メルセデスのパディ・ロウが2人のドライバーに対し「無事に帰ってこい」と無線で語りかけ、これがチームオーダーではないかと物議を醸していたりもしますが……ロズベルグもハミルトンも、ちゃんと相手にぶつけるコトなくゴールまでマシンを持ってきたのですから、チームも文句言えるワケないですよね。
レース中にルイス・ハミルトンやニコ・ロズベルグに話しかけることはめったにないロウだが、今回は残り10周の段階で2人に「2台とも必ず無事に帰るよう」呼びかけた。
多くのリスナーにとって、それは明確なチームオーダーだと受け取られているが、 “OK”と応じたロズベルグはその後、前を行くハミルトンに猛プッシュをかけた。
レース後、チームの非常勤会長であるニキ・ラウダは笑いながらロズベルグとハミルトンはロウの指示を明らかに“聞かなかった”と話している。
「彼らはレースしているが、それは哲学の枠の中でだ」とラウダは『Welt(ヴェルト)』紙に語っており、その哲学とはどうやら“クラッシュしない”ことであるようだ。
ロウは2人が指示を守って満足だと述べている。
ともあれ、近年まれに見るナイスバトルでした。毎回こんなバトルが見られるのなら、メルセデス独走も悪くない。
しかし、最後はあっさりロズベルグが前に出ると思ってたんですけどね。セーフティカーで差がなくなった状態からのリスタート、しかもタイヤはオプションタイヤ履いたロズベルグが有利なはずでしたし。ただ、夜になり路面温度が下がるに連れ、プライムとオプションのタイム差が縮まっていたみたいで、それも手伝ってハミルトンはトップを守れたみたい。
第2スティントでミディアムを投入したロズベルグ側の戦略は、結果としてハズレだったみたいですね。
チームメイトバトルの嵐
それにしても、今回はチームメイトバトルがよく見られるレースとなりました。フォースインディアのペレスとヒュルケンベルグ、ウィリアムズのマッサとボタス、レッドブルのリカルドとベッテル。フェラーリの2台も結果的に同じようなポジションに落ち着きましたし、これだけ同じチーム同士でやり合う形になるのも珍しいような。
今年のF1はパワーユニットの性能差もさることながら、ギヤボックス含めたパワートレインを壊さないように労る必要があったり、燃料制限がキツくなったコトにより燃費に相当気を遣う必要があったり、もちろんタイヤデグラデーションにも注意する必要があったりと、走りながらマネージメントしなきゃいけないコトが山ほどあるんですよね。
そういう制約の中だと、やはり各チームのマシンの基本性能がレース戦略を大きく左右するんじゃないかと。すると、自然とチームごとに戦略が似通ってきて、結果的にチームメイト同士が似たような場所を走るコトになるのかなぁ、とか。
今回はマッサに逆襲を目論んでいるであろうボタスに注目していたんですが、結果的にはまたしてもマッサの後塵を拝するコトになりました。ていうか、マッサのロケットスタートが素晴らしかったですね。ただ、2台とも前評判ほどのレースペースは無かったようですけど。
一方で今回はフォースインディアが奮戦し、ペレスが3位表彰台ゲット。ペレスの表彰台はザウバー時代、2012年のイタリアGP以来。やっぱり彼、マクラーレンみたいなところよりも、こういう中堅チームの方が伸び伸びやれるんじゃないですかね。ヒュルケンベルグとの争いではヒートアップして少々やんちゃなライン取りをしているようにも見えましたが、ヒュルケンベルグは「チェコとのバトルは非常クリーンでフェアだった」とコメントしており、なんやかんやでお互いレースを楽しめていたようです。
メルセデスのトップ6独占は阻止したものの
レース中盤にはメルセデスGP・ウィリアムズ・フォースインディアがトップ6を独占し、こりゃホントにメルセデスパワーユニットの1–2–3–4–5–6フィニッシュあるかとも思ったんですが、最終的にはレッドブルが4位と6位に入り、なんとか意地を見せた格好。
しかし順位はリカルドが4位・ベッテルが6位と、リカルドがベッテルを上回る格好に。ベッテルのマシンはトラブルもあったみたいですけど。ウェバーさん時代は、トラブルが起きるのは決まってウェバーというお約束だったんですが、リカルドが来てからベッテルにもトラブルが降りかかるようになりましたねぇ。ウェバーさんって、他人の不幸を吸い取る力でも持ってるんじゃないか……?
そのほか
今回のレースでヒヤッとしたのが、グティエレスとマルドナドのクラッシュ。土手っ腹に突っ込まれたグティエレスはマシンが一回転しマシンは大破。これ、低められたノーズの危険性が改めて浮き彫りになる格好になりましたね。安全性を高めるために低くしたハズなんですが。
グティエレスはピットアウトしたマルドナドがインに飛び込んできているのに気付いておらず、そしてマルドナドは冷えたタイヤで停まり切れるワケもなく、そのままクラッシュ。マルドナドはレース中のストップ&ゴーに加え、次戦でも5グリッドダウンのペナルティ。
Maldonado gets China grid penalty for Gutierrez crash - The Official F1 Website
マルドナドは「エステバンはブレーキングポイントを間違えたんだと思うけど、よくわかんない」みたいな投げやり気味なコメントをしてますが、そもそもピットアウト直後になんであんなアグレッシブ過ぎる突っ込みしたのかがよくわかりません。どうにも走らないマシンにイライラしてたのかもしれませんけど。
We will need to have a look again at what happened as Esteban seemed to be off his line coming into Turn 1 - maybe he missed his braking point, I don’t know - and by then I was in the corner with nowhere to go. For sure it’s difficult to understand and I was coming out from the pits and with cold tyres. I think he was very unlucky and it’s good he jumped straight out of the car.
via: Pastor Maldonado:Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
マルドナドはホントに最悪のタイミングでの移籍しちゃいましたねぇ。
そのロータスからフェラーリに移籍したライコネンも、結果は10位とパッとしない感じ。アロンソも9位がやっとで、2人のワールドチャンピオンを抱えてこのレベルというのはチームとして相当頭が痛い話ではないかと思われます。なんせドライバーの実力は折り紙つき、そうなるとマシンがダメという結論に自然となっちゃいますからね。
モンテゼモロ会長もかなり不満げですし、これシーズン中の首脳陣更迭もあるかもしれんですね。
ともあれ、パワーユニット性能がモノを言うサーキットでのメルセデスの圧倒的なアドバンテージが浮き彫りになったレースでした。このあとの中国やスペインもメルセデス優位は動かないでしょうねぇ。レッドブルとしては、モナコにターゲットを合わせるしかないかもしれません。