3月2日の土曜日、鈴鹿サーキットで開催されていた「モースポフェス 2019 SUZUKA」に行ってみました。鈴鹿サーキットでは毎年モータースポーツのシーズン開幕に先立ってのファン感謝イベントが開催されてきましたが、私は実のところ2015年の1度だけ行ったことがあるだけでした(⇒ 鈴鹿サーキット モータースポーツファン感謝デーに行ってみた)。このときは、マクラーレン・ホンダが復活する!というコトで歴代のホンダF1マシンが一斉展示されるとかっていうのに釣られてしまって。
そして今年は、ホンダとトヨタと鈴鹿サーキット(モビリティランド)の3者が共催するイベントとして生まれ変わり、非常にバリエーション豊かなマシンが登場するという話を聞いて、久しぶりに釣られてしまった次第。ただ、同じように釣られる人は多そうな気がしたので、リザーブドシート(基本グランドスタンドも自由席のイベントだけど、V2スタンドの上のシートは有料指定席になってる)とピットウォークのチケットは予め買っておきました。以前はピットウォークって無料だった気がするけど、入場者が多くなると混雑しすぎて危なそうだしね……。ただ、どちらも1,000円で買えるので非常に良心的であると言えましょう。
道も渋滞しそうな気がしたのでクルマは避けて近鉄で行ったんですが、白子に9時50分くらいに到着して、そこからバスに乗っていったらやっぱりサーキット前の道路は大渋滞となっておりました。
この日はめちゃくちゃ良い天気で、風もほとんどなく絶好のイベント日和。GPスクエアに入ってすぐのところにHonda RacingとTOYOTA Gazoo Racingの展示スペースがデンと現れ、
モータースポーツのファン感謝イベントはメーカーが個々にやるものと相場が決まっていた中で、ホンダとトヨタが手を組んでイベントを開催するというのはファンとして大いに歓迎ですし、入り口からそれを象徴するような展示がなされていることには思わずニヤリとしてしまいます。
新・永遠のライバル対決
時間的にちょうど「新・永遠のライバル対決」が始まりそうだったので、到着早々まずはグランドスタンドへ。めぼしい席はほとんど埋まっているような状態でしたが、取ってて良かった指定席。ただ、Fブロックの席だったのでステージがちょっと離れてた。
星野一義と中嶋悟による「永遠のライバル対決」を引き継ぐ形になったこのイベント、新たに日産の本山哲・ホンダの道上龍・トヨタの脇坂寿一の三人による対決となりました。この日の対決はローリングスタートから本山がややフライング気味の加速を決めて、途中抜きつ抜かれつのサービスシーン(?)はあったものの、最後は再び本山がトップでフィニッシュ。ホンダとトヨタの共催イベントで日産が勝つという暴挙を達成してしまいました。かつて星野一義も「永遠のライバル対決」においてとんでもないフライングを決めるといった大人げなさを発揮しておりましたが、その日産の伝統は本山に受け継がれているようです。
GPスクエアをぶらぶら
「新・永遠のライバル対決」を見たあとは、席を離れてGPスクエアをぶらぶら。中央の特設コースで、トヨタとホンダのドライバーでカート対決してたりしました。スタート時に可夢偉がとんでもない不正行為をやらかしたという話を耳にしましたが、そのシーンは見逃してしまった……。
そのコースの横には、でかでかとしたダカールラリー仕様の日野レンジャーが。鈴鹿サーキットでこんなクルマが見られるとはなあ。
そういや、ダカールラリー走ってるこういうトラックって荷室はどうなってるんだろ?と疑問だったんですけど、後ろから見ると中身丸見えなんですねコレ。側面のスポンサーロゴとか書かれている部分、金属製なのかと思ってたら違うのか……。
ダカールラリーと言えばトヨタ車体のランクル200も展示してあったり、
その近くには佐藤琢磨のインディ500優勝車両であるダラーラDW12が展示されているというごった煮ぶり。
サイドポンツーンを可能な限り小さくして、リヤ周りをスカスカにする方向性のF1を見慣れていると、インディカーのデザインは明らかに異質。そこが面白いところでもあるんですけど。リヤウイングの形状も面白いですねえ。
市販バージョンとスーパーGT仕様のNSXの乗車体験コーナーもあったんですが、特にスーパーGT車両の方は40分待ちといいう人気っぷり。さすがに並びませんでした。
隣にあったSF14も、子供限定で乗れるというコトだったみたいですが、誰も乗ってなかったな……。
トヨタの展示では、スープラのスーパーGTコンセプトと市販バージョンの両方を並べて展示してました。モータースポーツファンの集まるイベントというコトもあって、トヨタとしてはスープラを大々的にPRしたいんでしょうね。
市販版のスープラの後ろ姿、真ん中がダックテールになってるの好みが分かれそうな気がするなあ。純正リヤスポイラーは用意されないのかな?
内装はBMW譲りだけあって質感は高いんですが、しかしやっぱり80の方が……。あと、兄弟車のBMW Z4はインテリアの意匠が次世代タイプになっている分、ちょっと見劣りしちゃう感が。
そしてスープラの展示スペースの隣には、なんと98年仕様のインプレッサWRCが。自分のID的な意味で注目せざるを得ない。大してWRCのコト知ってるワケでも無かったのに、この当時のインプレッサがとてつもなくカッコ良く見えて、それで自分もWRXに乗りたくなっちゃったんだよなあ……。
GPスクエアの入り口付近まで戻ってきて、改めて周辺の展示車両を眺めていたら、コペンのGRコンセプトも置いてありました。ダイハツのクルマなんだけど、ちゃんとGR風味の顔になってるのスゴイですね。内装はレカロシートが付いてたりはしますけど、まあコペンだなと。ちょっと乗ってみたいクルマではありますね。
コペンの奥のテント下には、TS050の姿が。このマシンも鈴鹿で見られるとは思わなかった。カラーリング見る限りは2018/19年仕様ですね(正直、年式による外観上の違いをわかってない)。
ところで、マシンを後ろから覗き込んだときになんかコンセントが転がっていたんですけど、これなに?
TS050の横にはヤリスWRC。いやこれカッコ良いわ。あと、よく見るとフィンランドのナンバープレート付いてる。
このド派手なWRCカーに比べると、ヴィッツのGRMNとか見た目が普通のヴィッツ過ぎて物足りない感じはあります。あの羊の皮を被った狼ぶりがたまらない、って向きもあるでしょうけども。
ホンダのスペースにはトロロッソ STR13がホンダパワーユニットと共に展示されてました。やっぱりF1マシンは注目度高い。
展示車両をいろいろ眺めていたら、コース上で行われていたスーパーGTの走行をすっかり見逃してしまったんですけど、まあスーパーGTはまたレース見に行くと思うんで良しとしましょう。
グリッド&ピットウォーク
そんなワケで、GPスクエアを一通りぶらぶらした後はそのままパドックトンネルをくぐってグリッド&ピットウォークへ。ピットウォークのチケットは当日券も若干あったようですが、ゲートオープン後早々には売り切れていたようです。前持って買っといて良かった。
私は1コーナー側から入場して、まずはピットの方からざざーっと見ていったんですが、気になったのはやはり新しくなったスーパーフォーミュラのマシン、SF19ですね。
F1にならってヘイローも装着されてしまいましたが、さすがに見慣れてきた感はあります。ノーズの高さもF1に倣っている感じしますね。フロントウィングの造形はF1に比べるとずっとシンプル。この辺はワンメイクのシャシーですし、コストの兼ね合いなんかもあるんでしょうか。
ドライバーも結構シャッフルが行われたみたいで、昨年チャンピオンを獲った山本尚貴は無限を離れてダンデライアンに移籍したんですねえ。代わりに野尻が無限に行き、ダニエル・ティクトゥムとコンビを組むと。ダンデライアンで山本とコンビを組むのは福住仁嶺。セルモ・インギングも国本が離れて坪井翔が乗ると……なんだか、結構面白そうな顔ぶれですね?
ピットをずっとシケイン側まで歩いて、今度はホームストレートを1コーナー側に向かって歩きます。まず気になったのはレッドブルの「F1デモカー」なんですけど、これ形的には2011年のRB7(ルノーV8)を今のカラーリングに塗り直したものですね?
そしてグリッド上にも展示されていたTS050、ただしこちらはルマン24時間を制覇したそのものの車両みたい。
で、ルマンを完走した状態のまま保存されているというコトで、ボディに残った汚れが非常に生々しい。
「レースを走り終わったままの状態で保存する」ていうのはなかなか珍しい気がしますが、ルマン24時間という舞台を走り抜いた証を残す、という意味ではとても素晴らしい。
そしてヤリスWRCも居て、
琢磨のDW12も居て、
SF19も居て、
ミクさん号も居たりして。シーズン前のイベントだけに、まだカラーリングが施されてないカーボン地剥き出しのマシンも散見される(セルモ・インギングのSF19もそうだった)中で、バッチリカラーリング決めてるグッスマさん、さすがです。
しかしなんだろう、この異常なまでのバリエーション豊かな顔ぶれは……。F1、WEC、WRC、インディ、スーパーフォーミュラ、スーパーGT(あとそういえば二輪も居た)と、これだけ様々なカテゴリーのマシンが一堂に会するコトってそうそうないですよねえ。クルマ眺めているだけで飽きないですわコレ。
イベントセレモニー
グリッド&ピットウォークのあとはグランドスタンドに戻って、あとはコース上のイベント見物。このタイミングでイベントセレモニーが行われたんですが、先ほどグリッドに並んでいたレッドブルF1やヤリスWRC、TS050、DW12といったマシン達が揃ってデモランを行うという光景は、「すごい」を通り越してなんだかシュールな感じすらしました。
そしてデモランを走っていたヤリスWRCとホンダのモトGPマシンがピットに入ったかと思いきや再び走り出し、グランドスタンド前に戻ってきてマシンから降りてきたのがトヨタの豊田章男社長とホンダの八郷隆弘社長。なるほどそうきたか。
セレモニーの最後はホンダとトヨタ、二輪と四輪のルマン24時間を制覇したマシンを並べて記念撮影が行われておりました。
F1ブームが去ってから長いコト経ちますが、実は全体的に見ると日本のモータースポーツって今が絶頂期なんじゃ……?という気もしてきたりして。インディ500とルマン24時間で勝って、WRCでもマニュファクチャラーズチャンピオン獲って、スーパーフォーミュラは改めてF1への登竜門として海外からも注目され……。あとはF1でレッドブル・ホンダが結果を出せば文句無しじゃね?
その他のイベント
セレモニーのあとは、「耐久世界王者 ~Le Mans Winner~」と銘打たれたイベントにて四輪のTS050、二輪のCBR1000RRがそろい踏み。昨年、ホンダのマシンが二輪のルマン24時間で勝った、というニュースは耳にしてはいたんですが、そもそも二輪でも24時間耐久レースをやっていた、という事実をその時初めて知ったりして……。
そのあとはスバルの3台のマシンによるデモ走行。GT300のBRZに、NBRチャレンジのWRX STI、そしてさっきGPスクエアに展示されていた98年式のインプレッサWRC。
東コースを3周するデモランが終了し、さて次のイベントは……と思いきや、新井敏弘の駆るインプレッサWRCがホームストレート上でくるっと向きを変え、縦横無尽にドーナツターンを披露。いいぞもっとやれ!
するとそこに、ヤリスWRCも乱入(?)。ステアリングを握るのはトミ・マキネン、新旧WRCマシンの共演にスタンド大盛り上がり。
そしてヤリスはホームストレート上に設置されたジャンプ台からの大ジャンプも披露。飛距離結構スゴかった。
マキネンさんももう結構いい年だと思うんですけど、なんかスゴいノリノリでドライビングしてましたね。4度の世界王者は伊達では無い。
このインプレッサとヤリスの演出はニクかったですね、個人的にはこの日のイベントで一番胸が熱くなりました。
その後はSF19のシェイクダウンテストが行われ、
日も傾いて来た頃に満を持して佐藤琢磨が登場。しかも鈴鹿サーキットレーシングスクールの教習車に乗って。そういや琢磨、SRSの校長に就任したんでしたっけ。
そしてDW12のデモランが行われたワケですが、このマシンもサスペンションはオーバル仕様からロードコース仕様に直されているものの、インディ500を勝ったそのものの車両、そしてエンジンもその時のブロックをホンダがオーバーホールして載せているんだそうな。TS050といいこのマシンといい、やはり勝ったその時のオリジナルを保ちたいという思いがあるんでしょうねえ。
ただ、そんな貴重なエンジンを積んでいても容赦なくドーナツターンする琢磨さんステキ。
いつもより回しすぎてクルマが見えなくなっております。
いやしかし、鈴鹿でTS050やヤリスWRCが見られるとは思ってませんでしたけど、鈴鹿でインディのマシンが走ってるとこ見られるとも思って無かったよね……。しかもインディ500を勝った車両をさ。
このあともまだしばらくイベントは続いてましたが、私は琢磨の走行が終わった時点でサーキットを離れました(混雑に巻き込まれるのイヤだし)。モビリティランドとホンダとトヨタ、3社共催の1年目というコトもあってか非常に盛りだくさんな内容で、バラエティ豊かなマシンを一度に見るコトが出来て非常に満足のいく内容でした。1年目でここまでやっちゃうと、来年以降のハードルがめちゃ高くなるんじゃないかと心配になるレベル。
しかしこうして、ホンダとトヨタが足並み揃えてモータースポーツを盛り上げていこうという姿勢は非常に歓迎ですし、鈴鹿サーキットだけでなく、いろんな場所でこうしたイベントが開催されると良いな、と思います。やっぱりホンモノのレーシングカーを見る機会が多ければ多いほど、モータースポーツに興味を抱く人も増えるでしょうしね。