大須は萌えているか?

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多度大社に寄って「伝統行事」を考える

所用で近くを通りがかったので、三重県桑名市にある多度大社に寄ってみました。

ここ、自分は初めて来たんですが、「上げ馬神事」で有名なとこです。Wikipediaには『南北朝時代から行われ、馬を奉納する行事が祭へと発展したと考えられている』と書かれてますが、奉納する行事だったはずが、いつの間にか境内に設けられた上り坂の先にある絶壁を馬で駆け上るという度胸試しイベントと化してしまったようです。

この神事、毎年5月4日・5日に開催されているそうで、つまり訪れたのがちょうど開催直前のタイミングだったようです。そのため、境内へと続く参道に臨時の観客席(?)が設けられておりました。

境内の階段登ったところから見下ろすとこんな感じ。客席の間を馬が駆けていくようです。

ほいでもって、終点の絶壁は作成中でした。……これ、毎回人の手で作っているのか……。

近くで見るとなかなかの絶壁ぶりで、これ馬で飛び越えるの無理じゃね?っていう気もしてしまうんですが、動画見るとちゃんとクリアできるんだな……。これ、6組の騎手と馬が挑戦して、クリアできた組の多さでその年の農作物の豊凶を占うものらしいので、たとえば前年が凶作だったときは「ちょっと今年は高さ下げるか」みたいな忖度が行われたりしないんだろうかと想像しちゃったりもするんですが、まあ高さはちゃんと厳密に決められているんでしょうきっと。

近年は動物愛護の観点から、こうした神事への批判も出ているそうで。2009年には馬を興奮させる目的で腹を蹴るなどしたというコトで関係者が動物愛護法違反で書類送検されるなんてニュースもあったとか(⇒ asahi.com(朝日新聞社):「上げ馬神事」で馬の腹殴った疑い 住民ら5人書類送検 - 社会)。

そもそも、こんなふうに臨時の客席作って見物料とって、なんていう形になったのがいつ頃の話なのかが気になりますが、神社や周辺地域にとっては貴重なイベント(収入源)でもあるでしょうし、引くに引けないというか、「盛り上げなきゃいけない」みたいな空気になってんだろうなあ、とは思えちゃいますね。

多度大社では白馬が神の使いとされており、それにちなんでか境内にも一頭の白馬がおりました。

この白馬はサラブレッドみたいなんですけど、上げ馬神事で使われてる馬もサラブレッドだったりするのかな??競馬とか見ないんで良く知らないですけど、サラブレッドってケガしやすい、物音に敏感といった性質があったはずで、上げ馬神事とかに使ったら結構ヤバめな気もするんですが……。

多度大社の上げ馬神事は南北朝時代から続いているとされていますが、その頃ならば木曽馬とか使ってたんでしょうね。こちらは胴長短足・頑丈さがウリの馬なので、こういうタフなイベントにも耐えられたのではないかって気がしますが……ただ、足が短くてあの絶壁は上れない気がするな。あの壁の高さも、昔と今とじゃ結構違ったりしないかな?

そんなコトをつらつらと考えてたら、「伝統行事だから」の一言でいろいろ済ませてしまうのも考え物ではないかなーという気もした今日このごろでした。