大須は萌えているか?

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F1[21] スペインGP 予選

マシンの総合力が問われると言われるカタロニア、ここで圧倒的に強いメルセデスレッドブルがどこまで迫れるのか……レッドブルの真価が問われる一戦になりそうな、F1スペインGP予選。

通算100ポール

予選を制したのはメルセデスのハミルトン、通算100回目のポールポジションというおまけ付き。かつてアイルトン・セナが65回のポールポジションを記録したときは「誰もこの記録を追い抜くことはできないんじゃないか」と思ったりしたもんですが、その12年後である2006年にミハエルが66回目のポールを記録。シューマッハは最終的にその記録を68まで伸ばし、今度はもう抜かせないかなと思ったらその11年後の2017年にハミルトンがその記録を塗り替える69回目のポールを記録。そして今年、その記録をとうとう100まで伸ばしてしまいました。

これはもう誰にも抜かせないのでは……とセナやミハエルのときと同じような気分になってしまうのですが、それでも塗り替えられていくのが記録というものなんでしょう。今は開催レース数も昔より格段に増えてますから、この状態が続くのであればいずれまたこの記録を塗り替えるドライバーが現れても不思議ではないですよね。しかし、それでもやはりとんでもない記録ですけどね、100回のポールポジションって。

From Silverstone to Singapore – Hamilton’s top 10 Formula 1 pole positions | Formula 1®

今回、Q2ではフェルスタッペンがその時点では一人だけ16秒台に入れるベストラップを叩き出したもんだから、これは今回レッドブルポールポジション有り得るかな、と思ったんですけどね。ここからQ3で一気に巻いてくるところがハミルトンの凄いところで……。わずかな時間ですぐにマシンを状況に合わせ込めるというのは、ドライバーとチームのコミュニケーションがものすごく上手くいっていることの証明なんだろな、とも思います。ミハエルもハミルトンも、その時代のベストチームと長期契約を結んでずっと乗り続けているっていうのが、記録をここまで伸ばせた最大のポイントでしょうね。チーム変わっちゃうとマシンの性格が変わるのももちろんだけど、人間関係もやり直しになっちゃうしね。ドライバーがチームを移籍するとき、エンジニアも一緒に引き連れていくコトがあるのはそのデメリットを少しでも無くすためなんでしょうけど。

しかし、今回はごくわずかな差でフェルスタッペンがフロントロウに並んでいるのは興味深いところです。カタロニアとメルセデスの相性の良さは鉄壁といって良いレベルで、2013年以降で見るとメルセデスがフロントロウ独占を逃したのは2017年にベッテルが2番手に割り込んだときだけ、というくらい。2016年にはフェルスタッペンがここでキャリア初優勝を飾っていますが、それ以降はハミルトンが4連勝中。そんなサーキットで、まずは予選でここまでレッドブルメルセデスに肉薄できたというのは、レッドブル・ホンダ陣営としては大きな収穫だったんじゃないでしょうか。あとは決勝がどうなるかですが、まずはスタート後に誰がトップを奪うのか、次第でしょうね。今回は皆Q2もソフトで通過しているので、タイヤの条件は基本的に同じ。やっぱり蹴り出し重視なんですねえ。

レッドブルはペレスが低迷しているのが気がかりですが、どうも左肩に痛みがあってそれを庇いながらの予選だったみたいですね。

Perez says he felt ‘far from 100%’ with shoulder issue en route to disappointing P8 in qualifying | Formula 1®

決勝では治っていると良いんですが、フェルスタッペンにとってはまた2台のメルセデスを一人で相手にしなくてはならない状況になってしまっており、そこが気になるところではあります。とはいえ、ここでハミルトンに連勝を許せば流れは大きくメルセデスに傾くでしょうから、フェルスタッペン陣営としてはなんとしても勝ちたいレースではあるでしょうが……さてどうなりますか。

予選タイムが右肩上がりにならない?

今回のQ3、トップ3台が2回目のランで1回目のタイムを上回れなかったり、他にもQ2のタイムを上回れなかったドライバーがちらほらいたりという状況でしたが、基本的に予選のタイムはセッションが進む毎に右肩上がり(下がるというべきか?)になっていく、というある種の「常識」に照らすと少々奇妙な状況ではあります。前戦のポルトガルでも同様な現象があったため、トップ3記者会見でもその理由を問う質問が飛んでいたりもしますが、それだけ現代のF1マシンが風の影響を受けやすいというコトであり、前戦と今回で予選の最中に風の状況が変わるというコトが連続した、ってコトなんでしょうね。以下フェルスタッペンのコメント。

There’s never a trend because sometimes you nail your first lap and then you know that it’s tiny margins. If, of course, you don’t nail your first lap it’s quite easy to improve on the second one but today… and on tracks where it’s quite open and you have a lot of wind variation and gusts as well like today, with these cars we have, they are just super-sensitive to it, so even if it increases with a few kilometres it can make a difference into a certain corner and when you are driving like you are on the limit and you know suddenly you have a little bit less rear grip or a bit more understeer it can, of course, completely change the balance to the corner and that’s basically what happened in the last run.

via: FIA post-qualifying press conference - Spain | Formula 1®

1回目のランがバンカーとして中古タイヤで置きにいったタイムなら2回目のランで上回るのもそんなに難しくはないだろうけど、ニュータイヤを投入して感触の良いラップを刻んだあと、風向きや強さが変わってしまいブレーキングポイントやコーナリングのコンディションが変わってしまった状況でそれを上回るのはそんなに簡単じゃないってコトですよね。同じコンディションなら、より路面にラバーが乗っている2回目のランの方が有利なのは間違いないんですが、時として風の影響がそのアドバンテージを帳消しにしてしまうと。

フォーミュラカーを運転したコトの無い私のような人間にはなかなかピンと来ない世界ではありますが、エアロダイナミクスが極めて重要と言われているF1で、しかもコンマ数秒を争う世界であると考えれば確かにそりゃそうか、という感じでもあります。F1がいかにギリギリの世界で争っているか、というコトでもありますね。

中団争いは大変そう

毎度のコトではありますが、スペインは中段チームにとっても争いが熾烈。今回、あわよくばQ3進出のチャンスがあるか……と期待した角田はまさかのQ1落ちでしたが、カットラインのジョビナッツィとは0.007秒差っていうんだから大変。角田自身、イライラを隠せずに無線で吼えてましたが、どうも噛み合ってないですねえ。開幕戦とイモラは上手く乗れていた(イモラはミスでチャンスをフイにしてしまったものの)と思うんですが、どうもポルトガル、ここスペインと苦しんでいる様子。ガスリーと角田のフィードバックの内容が全然違うというのが悩みのタネみたいですが、ガスリーのが経験豊富なぶん走りの引き出しをたくさん持っていて、特に風の影響を受けやすいコンディションなんかでは変化する状況にドライビングの方でうまく合わせ込めるってのもあるんでしょうか。角田にとっては、この状況をいかに乗り越えていけるかがひとつの試金石になるかな。

予選の速さを見ると、トップ2チーム以外ではフェラーリが優位なようですが、そこにオコンが割って入ったのはちょっと驚きでした。前戦でも予選6番手だったし、尻上がりに調子上げてますね彼。逆に言うと、これで予選三連敗となったアロンソはちょっと立つ瀬が無い感じですが。これはアロンソが苦戦しているからか、オコンが成長しているからなのか。とはいえ、アロンソも決勝ではうまくまとめ上げる能力があるだけに、予選一発の速さが欠けているのはやはり年齢かなあ……。

マクラーレンのノリスはもっと上にいけるかと思いきや、Q3最初のランでマシンにダメージを負ってしまい9番手止まり。Q1ではマゼピンに進路妨害されるというシーンもあったりして、全体的にツキが無い予選だったような。リカルドは7番手とノリスより前のポジションですが、彼もまだ自身のパフォーマンスをベストだとは感じていないようですね。リカルドはマクラーレン移籍後、まだノリスの前でフィニッシュしたコトが無いので今回はどうなるか。

アルファタウリはガスリーも12番手がやっと、という状態で、中団グループの中では相対的なパフォーマンスが落ちてきているような感じで気がかりなところ。ガスリーはマシンがあちこちでスライドしてタイヤがオーバーヒートしてしまう、といったコメントもしているので、決勝も苦しいかもしれませんね。

決勝は1ストップでいけるチームもあるかも、という話も出ていますが、チームによってタイヤ戦略が割れるようならちょっと面白い展開になるかもしれません。