大須は萌えているか?

gooブログからこっちに移動しました

iPhoneの音で満足していた人間がウォークマンを買ってみた話

しばらく前に、生まれて初めてAndroid端末を購入してみました。スマホじゃなくてウォークマンなんですけど。

 

Amazonのセールで過去に3台ばかし購入してしまったFire HDタブレットだってAndroidベースのOSやんけ、という説もあるんですが、ちゃんとした(?)Android OSを搭載している端末はこれが初めて、ということで勘弁してください。

なんでウォークマンを買ってしまったかというと、まずこのZX707の見た目がガジェット的にカッコ良かったからです(見た目で判断)。……そんな理由で10万円近い値段のする端末を購入するのもバカげていますが、他の理由を挙げさせていただきますと「Apple Musicのロスレスロスレスのまま聴ける環境を用意してみたかった」というのがあります。

どういうことかと言いますと、まず私は音楽配信のサブスクではApple Musicにお金を払って利用しているのですが、普段はだいたいiPhone + AirPods MAXの組み合わせで聞いています。それ以外の場合、Windows PCからUSB DAC(Topping DX3pro+)に有線接続してBOSE Companion20というアクティブスピーカーで聴くか、あるいはMacBook ProからDX3pro+にBluetooth接続して聴いている感じです。

少し前だとサブスクではAACなどの圧縮音源での配信が当たり前でしたが、この頃はロスレスハイレゾロスレスでの配信が当たり前になってきており、利用者としては嬉しい話だったりもします。ただ、私の利用環境を考えてみると、ロスレスロスレスのまま聴けるようになっていないワケですね。

iPhone + AirPodsの場合はBluetoothAACコーデックでの接続となるため、ロスレス音源を再生してもBluetoothで転送される時点で圧縮されたものになります。これはMacBook ProでDX3pro+にBluetooth接続した場合も同じ。じゃあDX3pro+に有線接続しているWindows PCならロスレスで聴けるかと思いきや、WindowsiTunesではなぜかロスレス配信に対応していないという有様(それにWindows PCはいつも起動しているワケでもないので、音楽をさっと聴きたいというニーズには噛み合わない)。

なので、手軽にApple Musicのロスレス音源を聴けるDAPが欲しいな、というのもありました。とはいえ、私は音楽マニアというワケでもありませんし、音質についてそこまでコダワリがある人間でもなく、正直言うとiPhone + AirPods MAXの音質に不満を感じたりはしていません。ただ、音楽専用機を謳うDAPロスレス音源を聴いたらどのくらい違うものなんだろう、という興味があって買ってみた、という感じです。Android版のApple Musicはロスレスにも対応しているみたいですし。

DAPを買わなくても、最近よく見るUSB-CやLightningで接続できるハイレゾ対応のポータブルアンプをiPhoneなりiPadに接続して有線ヘッドホンに繋げば良いのでは、という説もあるんですが、ポータブルアンプはいろんなメーカーからいろんなモデルが出まくっててどれが良いのかさっぱりわからんというのと、そんな折見かけたZX707の見た目が個人的に刺さった、というのがあります。あと、世代的に「ウォークマン」というブランドには馴染みがありますし。

んで、ウォークマンを買うのは良いけどそれに接続するヘッドホンをどうするか、という問題もあります。ハイレゾ対応のBluetoothモデルもありますが、やっぱり無線より有線のが音が良いっていう話は聞きますし、今回は使い勝手や取り回しよりも音質を重視してみたいので有線ヘッドホンが欲しいかなと。あと、ZX707は自分にとって馴染みのある3.5mmジャックに加えて4.4mmのジャックが備わっていて、こっちのが明らかに音質が良いとかって話なので4.4mmバランスケーブルが付属しているヘッドホンを見繕ってみることに。

んで、購入してみたのがウォークマンと同じくソニーのMDR-Z7M2(自分が買った直後に値上げされてしまいました)。

 

単純に同じメーカーのが相性良さそうだな、っていうのと、基本的にソニーは際立った個性が無い代わりにオールラウンダーでどんなジャンルも得意不得意無く聴ける、というイメージがあるので、あれこれつまみ食いして聴くのが好きな自分にとってはちょうどいいかなと。ひとつ気になったのはこのモデルの発売が2018年とそこそこ古く、もしかすると遠くないうちに後継モデルが出てくるんじゃないかって気がするところですが、まあ有線ヘッドホンの場合モデルの違いによってそこまで大幅に性能が変わるってことも無いだろう、というコトで購入。

ただ、冷静になって考えてみるとZX707とZ7M2の組み合わせってPlayStation5 + PSVR2の組み合わせよりも高額であるということに気づき、ノリで買うには高額すぎる買い物だったと反省したりもします。しかし、ZX707もZ7M2もソニーの製品ラインナップの中ではミドルクラスに位置づけられるモノであり、例えばウォークマンのフラッグシップモデルであるNW-WM1AM2とヘッドホンのフラッグシップモデルであるMDR-Z1Rを組み合わせると40万円を超えるというんだからオーディオの世界は恐ろしい。これがポータブルでなく据え置きになるとさらに単価が跳ね上がるし。

んで、手元に届いてから実際にApple Musicであれこれ聴いたり、以前にちょろっと購入したりしてみたハイレゾ音源をウォークマンに転送して聴いてみたりしているんですが、確かにiPhone + AirPods MAXよりもさらに音が良いと感じます。まあ圧縮・非圧縮、iPhoneウォークマン、無線・有線といったもろもろの違いがあるので、どの要素がどれくらい寄与しているのかというのは判断し辛いんですが、端的に言うと「音の生っぽさ」が結構違う印象。ウォークマンで聴いているほうがより「目の前で演奏している感」が強い。細かい音や残響音なんかもより明瞭に聞こえてくるし。

ただ、iPhoneの音楽も別に単体で聴いている分には悪いとは全然感じていませんで、聴き比べると「ああ、確かに違うな」という感じ。あと、ウォークマンは「DSEE Ultimate」だのなんだのと圧縮音源をアップスケーリングしたりする機能が搭載されており、その恩恵もあってか「古い圧縮音源でもなんか良い音に聴こえる」というのがあります。自分で昔CDからリッピングしたMP3なんかでもそれなりの音で聴けるので、そこが一番ウォークマン買って良かった点かもしれません。もちろん、ロスレスのが絶対的な音質は良いんですが。ただ、「普通のロスレス(=CD同等の音源)」とハイレゾロスレスの違いっていうのは正直わからんですね……。

あと、新しい音源なんかだとサウンドエンジニアの方がいろいろ工夫しているからなのか、iPhoneウォークマンでそこまで大きな差を感じなかったりもするんですよね。iPhone + AirPodsという、多くの人が利用している環境で良い音に聴こえるようにチューニングしてたりするんでしょうし。個人的にはライブテイクや古い音源のほうがウォークマンの恩恵を感じるような気がします。ていうか、今やかなり昔の音源でもサブスクでロスレスで聴けるんだから凄いですよね。海外の有名アーティストだけでなく、日本の古いアーティストでも普通にロスレス配信されてるし。クレイジーキャッツドリフターズ聴いてみたら、昭和の空気感がそのまま再現されたみたいでちょっと感動(世代がバレる)。

ZX707はそれなりに携帯性も考慮されており、持ち運ぶのにそこまで困るサイズでは無い……んですが、個人的には外で音楽を聴く場合はiPhone + AirPodsで良いかなあ、という気がします。ウォークマンを外に持っていくとしても、結局はiPhoneも一緒に持っていくことになるし。それに、外に居るときだとそこまで音楽に全集中するワケにもいかないので、そういう意味でもiPhone+ワイヤレスの音質でなんら不満は無いんですよね。こういう音楽専用機は、家でじっくり聴くときに使うという位置づけで良いかなあと思います。

バッテリーもちは可もなく不可もなしといった印象ですが、やっぱりストリーミングで聴いていると減りが速いな、という感じがします。ロスレス音源1曲聴いている間に1%くらいは減っている印象。良く聴く音楽はダウンロードしておいたほうがバッテリーには優しい気がしますが、本体ストレージが64GB(実際に利用可能なのは50GB弱)というのはちょっと少ない気もします。SDカードでストレージを拡張できるので128GBのSDを入れていますが、電源投入後SDカードを読み取るまでにちょっとタイムラグが発生することがあるのも気にはなります。

電源ボタンを押したあと、システムが起動完了するまでの時間は先代のZXシリーズに比べてかなり改善されているようですが、iPhoneと比べるとまあまあ遅いので(これは音質を優先しているがゆえみたいですが)、Android端末としての使い勝手という点ではイマイチですね。最初から、そういうサクサクした使い勝手を求めるモノでは無いということでしょう。

もろもろ勘案してみると、やはり音楽専用機というのはかなり趣味性の高いモノだなあ、という感じがしますね。大抵の人はスマホの機能で満足できてしまうところを、あえて専用の機械を買うという意味でいうとカメラにも近い立ち位置なのかな、と思います……が、カメラの場合デジタル一眼を買えばスマホでは実現できない撮影が出来る(最近はスマホでできることも増えてますが)という明確な機能性の違いがありますが、DAPの場合「音楽を再生する」という機能で言えばスマホとなんら違いは無いワケで、そういう意味ではDAPのほうがよりマニアックなのかもしれません。

オマケに音質の善し悪しって個人の感じ方による部分が大きいと思うので、それにいくらまでならお金を使えるか、というのはまったくもって「人による」としか言いようがないと思うんですね。例えば空間オーディオのように誰でも一聴するだけで新しい体験ができる機能なら「これは買い!」って言いやすいんですが、単純に音質の善し悪しっていうところで言うと難しい。私自身は、ZX707とZ7M2の組み合わせでより音楽を聴く満足度は高まったんですが、そこに15万円超のお金をぶっこむ価値があったか、と言われると「うーん」という感じでもあります。ひょっとしたら、同じウォークマンでもAシリーズとかでも良かったのかもしれない。

ただ、このZX707は200時間くらいのエージング(一定時間動作させることにより音質が変化すること)をしてからが本番らしいので(わざわざ音楽アプリ内に3.5mmと4.4mmそれぞれのジャックごとに再生時間のカウンタが備わっている)、じっくり使い続けてみようかと思います。個人的にはオーディオ機器のエージングってオカルトじゃないの、と思っていたんですが、メーカーが200時間のエージングにより本来の音質が出る、と言っているので信じるしかありません。

ウォークマンで本来の音質を楽しむためには一定時間通電させてコンデンサーを安定させる必要があるのですが、その目安が200時間なんですね。

via: 長時間再生、ストリーミング対応、大画面をスリムボディに凝縮 フラッグシップの高音質技術を継承したウォークマン『NW-ZX707』 | ソニー

そもそも200時間の再生をした頃合いに、買った当初の音をどれくらい覚えているかっていう問題もあるのですが……(しばらく聴いていると耳が慣れてきて、それをエージングの結果だと思い込んじゃうとかありそう)。あと、再生時間のカウンタってApple Musicとかで再生した時間が含まれないので、Apple Musicメインで使っていると正確なところはわからないっていう……。

ともあれ、ウォークマンという機器を所有すること自体すっごく久しぶりだったりもするので、これからはこいつで音を楽しみたいと思います。にしても、去年はBRAVIA XRにレコーダー、今年になってPSVR2とウォークマンにヘッドホンと、なんか最近かなりソニーに貢いでしまっているな……。