大須は萌えているか?

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ハイレゾ音源をどうやってiPhoneで聴くか問題を考える

Amazon Music Unlimitedに加入して以降、音楽はストリーミングで聴くコトが多くなった私です。こうしたストリーミングサービスの良いところは、単品だったらお金出して買わないであろう音楽を気軽につまみ食いして聴けるところ。米津玄師とか食わず嫌いで全然聴いたコト無かったんですけど、ストリーミング解禁されたときに聴いてみたら「あれ、とても良い……」となってお気に入りになってしまいました。ジャンルもメチャクチャ幅広いので、仕事中のBGMなんかにも重宝しますね。

ただ一方で、お気に入りの曲は購入して手元に置いておきたい、っていう欲求もあるワケです。ただ、物理的に場所を取るのでCDを買うコトは稀になっておりまして、デジタルデータをダウンロード購入するコトがほとんど。そのほうが、気に入った曲だけバラで買うコトもできますしね(アルバム単位でしか売らないのもあるけど)。しばらく前はAmazonでMP3を購入するコトが多かったんですが、あるときふと興味が湧いてハイレゾを購入してみたんですよ。以前購入したUSB接続サウンドカードハイレゾ対応を謳っているのもあって。

購入したのはSONYが運営しているmora。ここだとAmazon Payが使えるのでクレジット情報登録しなくて良いし。購入したハイレゾ音源はFLACとしてダウンロードできるんですが、Windowsではfoobar2000を使って再生しています。ハイレゾってCDよりも情報量が多い音楽データを指していますが、CDとハイレゾの違いを聞き分けられるかっていうとほとんど無理みたいですね。あちこちでブラインドテストが行われているようですが、ちゃんと聞き分けられたっていう話を聞いたコトがありません。

ただ、MP3との違いはけっこう分かりますね。まあ、MP3でも320kbpsみたいな高いビットレートエンコードされたものだと聞き分けられるか怪しい感じになってきますが、Amazonで購入したMP3より良いのはわかる。なんていうか、音が「太い」感じ。濃厚な感じと言ってもいいかもしんない。んで、CDと違ってハイレゾはバラでダウンロード購入できるので、シングルの1曲だけ買うとかなら300~400円くらいで買えるのでそんなに高くもない。

そんなワケで、最近はちょいちょいハイレゾで音楽を購入するコトもあるんですが、ただひとつ悩ましいのはこれiPhoneでどうやって聴くか、という点。iTunesiPhoneの「ミュージック」アプリはFLACに対応しておらず、対応しているアプリを別途入れる必要があるんですよね。オマケにハイレゾってファイルサイズがむやみやたらにデカい(4~5分の曲だと1曲で100MBを余裕で超える)ので、MP3の気軽さでぽいぽい放り込むとストレージがあっという間に圧迫されてしまうのは火を見るより明らか。

それに調べていると、ハイレゾのパフォーマンスをフルに引き出したいならハイレゾ対応・DAC内蔵のヘッドホンアンプも買えだとか、イヤホンもハイレゾ対応のものを買えだとか書いてあったりするワケですよ。ハイレゾ対応イヤホンって普通のと何が違うねん、と思わなくもないですが、それに加えてiPhoneと一緒にヘッドホンアンプを持ち歩くとかそんな面倒なコトしたく無いですよさすがに。もっと手軽に聴きたい。

そんなコトを考えると、やっぱりiPhoneでは割り切って圧縮音源にしたほうが取り回しが良いよなーって結論になり、foobar2000を使ってLAMEエンコーダーでVBR245kbps(平均ビットレート)のMP3にしてiPhoneに放り込んだりしてました。ただ、これでも音質はかなり良くて、これをCD音源と聴き比べても違いはわからないんじゃないか、ってレベル。

そしてさらに最近になって、AirPods Maxの話題をいろいろチェックしているときに、Apple Digital Mastersってのがあるのを知ったんですね。これ、Apple MusicとiTunesで配信・販売している音楽データ用のフォーマットみたいなんですが、ハイレゾ音源からなんかスゲえエンコード技術を使ってAACファイルに落とし込むコトで、圧縮音源でありながらハイレゾとほとんど変わらない品質を確保できる(と、Appleが主張している)もの。ストリーミングもダウンロード購入もApple使ってないから、そんなのがあるの全然知らんかった。

んで、そのApple Digital Mastersを紹介しているWEBページに「Apple Digital Mastersドロップレット」なるものが公開されていたので、気になってちょっとダウンロードしてみたんですね。これ、本来的にはマスタリングエンジニアの人が、Apple Digital Masters向けにエンコードされるとどうなるかをサンプルとして確認するためのものっぽいけど。Mac用なのでWindowsだと使えないんですが、ダウンロードしたZIPファイルの中身を開くと4つのappファイルが入っています。

この中の「Apple DIgital Masters Droplet.app」っていうのがAACファイルを作るドロップレットになるんですが、こいつはFLACファイルは受け付けてくれません。そこで他の「Audio to WAVE~」っていうドロップレットの出番なんですが、こいつにFLACファイルをドロップすると、FLACがWAV形式に変換されます(ソースファイルと同じディレクトリに出力される)。んで、そのWAVファイルを「Apple DIgital Masters Droplet.app」にドロップすると、今度はAACファイルが吐き出されるという流れ。

「Audio to WAVE~」のappファイルが3種類あるんですが、これはソースファイルのサンプリングレートに応じて使い分ければ良いっぽいですね。元のハイレゾ音源が96kHzなら「Audio to WAVE 96K Droplet.app」、48kHzなら「Audio to WAVE 48K Droplet.app」を使えってコトでしょう。

そうして吐き出されたAACファイル(拡張子は「.m4a」)をiTunes経由でiPhoneに転送してAirPods Proで聴いてみたところ、「これはこれでメチャクチャ音良くね?」って気がしたんですね(なんらかの認知バイアスが掛かっている可能性は否定しない)。そして特筆すべきはそのファイルサイズで、VBR245kbpsのMP3よりも小さいんですよ。手持ちのファイルで例を出すと、moraで購入した『ガールズ&パンツァー 劇場版 オリジナルサウンドトラック』(96kHz/24bit)の中の『Skkijrven polkka』(ガルパンおじさんならすぐピンと来るであろう、フィンランドのアレだ)だと、MP3が7.55MBなのに対し、DIgital Mastersドロップレットで作ったAACは6.73MB。ちなみに元のFLACは112MB。

これMP3よりAACの方がファイルサイズ的にコンパクトってコトなんかな?と思い、foobar2000からもAACエンコード(VBR256kbps)でファイルを出力してみたところ、8.68MBとなりむしろ増えました。これ何が違うんだろなーとMediaInfoを使って見比べてみたところ、ビットレート自体はDIgital Mastersドロップレットで作ったほうが上なんですね。ノミナルは256kbpsなんですが、「ビットレート: 282kbps」・「最大: 309kbps」となっており、対してfoobar2000で作ったAACは「ビットレート: 256kbps」・「最大: 262kbps」。ただ、サンプリングレートはfoobar2000が48kHzに対してDIgital Mastersドロップレットは44.1kHzとCDと同等まで落としているんですね。

サンプリングレートは抑えつつ、ビットレートの調整を上手くやることで音質とファイルサイズを両立しているのかなーという感じですが、それにしてもこのファイルサイズでこの音質を実現しているって結構スゴイのでは。今後はハイレゾ買ったらこのドロップレット経由でiPhoneに入れよう、そうしよう。(ただ、このドロップレット噛ませるとメタ情報が全部吹っ飛ぶので、それを再入力する手間はあるけど……)

にしても、このAppleの「圧縮音源+ワイヤレス」という一般的なユーザーが取っ付きやすい環境での音質を最大限に追求していく、という姿勢はすごく正しいと思うんですよね。ハイレゾはファイルサイズが巨大な時点でモバイル向きじゃないし、さらにワイヤレスじゃ音が劣化するから有線だ、それにヘッドホンアンプだとか言ったら使い勝手という面ではどんどん悪化していくワケですよ。自宅環境だったらそれでもいいんだけど、モバイルでは正直しんどい。

ハイレゾからエンコードした圧縮音源でも結構驚くような音が鳴ることが良く分かったので、自分の中でのデジタルミュージックとの付き合い方がより明確になってきた感じがします。

ちなみに、今期のアニメ主題歌だと『魔女の旅々』OPテーマ、上田麗奈リテラチュア』が良かったです。サビに入るところで世界がワッと広がっていく感じとか、良い音で聴くと中々のものですよ。上田麗奈の曲って初めて聴いたんですが、普通に歌っていないというか、歌いながら芝居している感じがする不思議な魅力のある歌声ですねえ。声優ならではの表現を感じました。