また今回もフェルスタッペン楽勝のレースかな、とは思っていたんですが、意外と盛り上がりましたね。そんなF1イギリスGP決勝のお話。
- 決勝結果: FORMULA 1 ARAMCO BRITISH GRAND PRIX 2023 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: 2023 British Grand Prix race report and highlights: Verstappen heads local heroes Norris and Hamilton to claim British Grand Prix win | Formula 1®
- 決勝後各チームコメント: What the teams said – Race day at the 2023 British Grand Prix | Formula 1®
- 決勝後記者会見: F1 - 2023 BRITISH GRAND PRIX - POST-RACE PRESS CONFERENCE TRANSCRIPT | Federation Internationale de l’Automobile
最近F1公式サイトに記者会見の文字起こしが掲載されていない気がするんですが、FIAのサイトに掲載されているのを見つけたのでそっちにリンク張っておきます。
フェルスタッペンよりノリスが主役だった
フジテレビ解説の森脇さんが、「イギリスではなぜかマクラーレンの人気が高い」といったコメントをしていましたが、とりわけランド・ノリスの人気が急上昇している感じしますね。もちろんハミルトンもまだ人気あるんだと思いますが(……あるよね?)、ノリスの人気はそれを凌いでいる感じがします。実際問題としてノリスって実力はもう折り紙付きと言っていいと思いますし、それでいてあの気さくなキャラクターですからね、まして母国ならそりゃ人気出るよなあって感じ。
予選で快調さを見せつけたマクラーレンでしたが、じゃあレースペースはどうなんだ、と思ったら決勝レースもかなり良かった。スタートでノリスがフェルスタッペンを出し抜くという見せ場も作りましたが、レース全体を通してペース良かったですよね。レース後半、セーフティーカー明けからハミルトンと激しいバトルも展開してましたけど、これを下して2位を守ってみせたのもお見事でした。ピアストリは残念ながら表彰台を逃す結果となりましたが、しかし彼もセーフティーカーのタイミングでポジションを失ったことを考えると、もう少し運が味方していれば表彰台は確実でしたよねえ。
予選・決勝ともここまでの強さを発揮したことを考えると、これからマクラーレンがチャンピオンシップ(レッドブル除く)の主役に躍り出るのか……という気もしてしまいますが、ノリスは比較的冷静な見方をしている感じですね。今回のマクラーレンの好調ぶりはサーキットの特性や低めの気温と路面温度に助けられたところが大きく、マクラーレンのマシンの弱点はまだ残ったままだ、という話。
But we do have a poor car and I say poor, I would say pretty terrible in the slow-speed corners, extremely difficult to drive. I feel if we’re getting excited and I accept that, but we’re going to go to a couple of tracks coming up where I’m sure people are going to be saying “what have you done now? Like, how has it got so bad all of a sudden.” So, we’ve improved a lot of things: tyre degradation, there’s always little things you try and do with tyre cooling and blah, blah, blah, but nothing big from that side. It’s just this track’s allowed us to look after the tyres nicely, keep them in a good condition. Simple as that. So a lot of it is track-specific. I don’t want to get too excited, but good things have come from the upgrade but there’s still plenty of things which are a miles away from, say, competing in certain places with a Mercedes and as a whole package competing even with a Red Bull. So a lot more work to be done from both of those areas.
ただ、アップデートがかなり効果を発揮したのも間違いないところでしょうし、メルセデスやアストンマーチンにしてみればマクラーレンに対する警戒レベルがぐっと上がったのは確かでしょう。コンストラクターズでのポイントはまだかなり開いていますが、今後どう推移していくのかはちょっと楽しみ。
あと、ノリスがミディアムからタイヤを交換する際にソフトを希望したのに対して、チーム側の判断でハードを履かせて送り出したのが話題に登っていましたが、これチームとしてはVSCからSCに切り替わったのが計算外だったという話のようで。
なぜノリスに履かせたのはソフトではなくハードだったのか? マクラーレンがイギリスGP後半のタイヤ戦略について説明「最も賢明な選択だった」
VSCのまま状況が進んでいくならハードのが良い、と判断していたんだけど、ノリスのタイヤを準備している間にセーフティーカーに切り替わってしまい、そこからノリスがピットインしてくるまでのわずかな時間でソフトを用意し直すのは賢明では無かった、というコトのようで。最終的にはそれでもポジションキープできたので結果オーライですが、これでもしもハミルトンにやられていたらもっとメディアから突っ込まれまくっていたのかもしれません。
次のハンガリーは低速サーキットの代表格……というイメージが未だにあるんですが、近年はアベレージスピードがかなり高いサーキットとなっているので、マクラーレンがどこまで善戦できるのかというのも見どころになりそうですね。
なんやかんやレッドブルは勝っちゃうんですが
マクラーレンがレースを盛り上げてはいたんですが、しかしレースに勝ったのはやはりフェルスタッペン。レッドブルはこれでチームとして11連勝、フェルスタッペンは6連勝という勝ちっぷり。もはや勝つことが当たり前になりすぎていてアレですが、そろそろ誰かこの連勝記録を止めてほしいところ。とはいえ、今回はフェルスタッペンも楽勝とはいきませんでしたね。レース後半にセーフティーカーが出て差が縮まったとはいえ、ノリスとの差は3.7秒でしたし。
前回のオーストリアでもルクレールが善戦していたことを考えると、シーズン前半にレッドブルが持っていた圧倒的なアドバンテージがちょっとずつ削られてきているのかな、という感じはします。実際問題として、ペレスなんてなかなか表彰台にも登れないレースが続いちゃってますし。
まーフェルスタッペンはこれだけ勝ちまくっているんだから、ちょっとライバルとの差が縮まっても別にええやん、とか思っちゃうんですが、彼自身はどこまでも勝ちまくりたくて仕方が無いんでしょうね。記者会見で「他にまだマシンで改善したいエリアはある?」と尋ねられたフェルスタッペンは、以下のように回答。
Drag, low speed, medium speed, high speed, DRS effect, tyre wear… All of these areas. That’s what we’re working on! Braking performance. Yeah, I’m not kidding.
要するにすべてにおいて改善の余地がある、っていう話。しかもジョークではなく本人いたって真面目に言っているようなので、これだけ連勝していても現状に満足していないんですよねえ。勝ちまくっているときのハミルトンもこんな感じでしたけど、どれだけ勝ってもまだ上を目指す、というこの姿勢が、何度もワールドチャンピオンを穫るドライバーとしては当然のマインドってことなんでしょう。
そのほか
予選はそこまでパッとしなかったメルセデス、決勝はなかなか良い展開でした。タイヤに優しいというメルセデスのキャラクターが上手くハマった感じ。ラッセルがソフトスタートで30周近く引っ張れちゃったのは驚きでした。もうちょっと引っ張れればセーフティーカーだったんですが。
逆に、今回アストンマーチンの影が薄かったですねえ。アロンソはハミルトンにも抵抗らしい抵抗ができない感じでしたし。相対的な戦闘力の低下が気になるところですが、アロンソ自身はこの結果について心配はしていないとコメントしてますね。むしろシーズン序盤が予想外に好調だった、という見方もできるのかもしれませんが、しかしもし今くらいの順位がしばらく続くようだと、アロンソの態度も変化してきそうな気もしますが……。
アルファタウリはいいところが無さすぎて言葉にならない感じですが、アップデート投入していてこの有様ってちょっと重症過ぎんか?と心配になってきます。角田はソフトタイヤでスタートした直後こそポジションを上げたりして気を吐いていましたが、その後全然ペースが上がらない状態に。タイヤ交換のタイミングも当初の想定よりかなり繰り上げてのものだったようですし、なんかマシンがどうにもならない感じが。