大須は萌えているか?

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F1[23] シンガポールGP 決勝

なんか終盤は近年稀に見るアツいトップ争いのバトルが見られましたね。レッドブルが遅いと、こんなにレースが盛り上がるんだなあ……。そんなワケで、F1シンガポールGP決勝のお話。

SMOOOTH OPERATOOOOR

メルセデス推しの私としては、今回のレースはメルセデスにも十分勝機があると思っていましたし、実際問題としてアグレッシブなタイヤ戦略によってレース終盤めちゃくちゃ盛り上げてくれて非常に嬉しい展開だったんですが、しかしそれを上手くしのぎ切ったサインツの上手さを称賛せざるを得ないレースでしたね。

抜きにくいコース特性を活用してのペースコントロール、そして終盤に一気にメルセデスが追い上げてきたときに後ろにいたノリスをわざとDRS圏内に留めさせてメルセデスに対する壁にする、という作戦は、思いつくことはあっても実行するのは並大抵のことでは無いでしょう。ちょっとミスすれば、逆にノリスにやられちゃうでしょうし。しかしそれを完璧にやり遂げちゃったというのは素晴らしい。

今回のレース、ミディアム→ハードのタイヤ戦略で行く場合、20周目から30周目くらいがタイヤ交換のウィンドウとされていましたが、サージェントが撒き散らしたデブリによりセーフティカーが出動したのが20周目。ここで一斉にタイヤ交換が発生するのは当然の流れですが、いつもタイヤのもちが苦しいフェラーリにとってはちょっと早いタイミングだったのは間違いないところ。

それを補うために、サインツはハードタイヤに履き替えて以降ラッセルをDRS圏内に入れたり入れなかったりするギリギリのラインで後ろに留め、ペースを上げすぎないようにコントロール。そしてオコンが止まってVSCが出たタイミングでメルセデス勢はタイヤ交換するという作戦に出るワケですが、そこからラッセルとハミルトンの2人は1分36秒台で追撃体制に。

サインツはVSC前は39秒台でペースをコントロールしていましたが、メルセデスのラップタイムを見てペースを引き上げざるを得ず、38秒台での周回に。しかし、ノリスのすぐ後ろにラッセルが迫ってきた59周目には39秒台にラップタイムが落ちていました。普通に走っていたのではやられてしまうかもしれない、ということでサインツが取った作戦が「ノリスをわざとDRS圏内に入れる」だったわけですね。

正直ラッセルもタイヤ交換後のプッシュラップでタイヤがそこそこタレてきており、仮にノリス作戦(?)が無かった場合でもサインツを攻略しきれたかどうかはわかりませんけどね。追いつくことはできても、抜くのが大変なワケですし。

ノリスもサインツを攻略する気は無かったらしく、というのは下手にサインツに仕掛けて行った場合、その隙を突かれて逆にメルセデスにやられるリスクが大きかったから、という話。なので2位キープに徹したいノリスと、トップを堅持したいサインツの目的がガッチリハマった展開だったとも言えます。この二人、こんなところでも仲良しだな。

個人的には終盤の追い上げで多いに盛り上げてくれたラッセルを称えたいとも思うんですが、最後の最後でウォールに接触してクラッシュしてしまったのは本当に残念……。直前でノリスも同じ場所で軽く壁に当たってしまっていたようですが、なんかそれにつられちゃったんでしょうか。

しかしまートップ争いがこんなに盛り上がったのは久しぶりですね。やはりレッドブルにはたまには調子崩してもらわないと困る(?)。

それでもポイントはしっかり取ってきたレッドブル

今回レッドブルの2台はハードタイヤでスタートするというリバースストラテジーを選択したワケですが、その中で20周目にセーフティカーが入ったというのはレッドブルにとっては最悪のシナリオでしたね。残り周回数を考えると、タイヤを換えるには早すぎるワケですから。結局レッドブルの2台はステイアウトを選択するワケですが、すると今度はリスタート後にペースが上がらない。リスタート直後はフェルスタッペンが2位、ペレスが4位に居たわけですが、コース上でスパスパ抜かれてフェルスタッペン6位、ペレス7位という位置に。まさか今年、こんなにペースが上がらないフェルスタッペンを見ることになるとは。

フェルスタッペンはペレスに比べればマシなペースを維持していたものの、後ろの集団をピットストップのデルタの範囲外まで突き放すことができず、結局39~40周目にペレスとフェルスタッペンがピットストップしたあとはペレスが18位、フェルスタッペンが15位まで順位を落とすことに。で、しかもこの数周あとにVSCが出るんですよね。今回、ツキもレッドブルに味方していませんでした。

ただ、ミディアムへ交換したあとのレッドブルのペースはかなり良かったですね。フェルスタッペンは37秒前後のタイムをコンスタントに刻み、結果的に5位。ペレスも8位フィニッシュまで追い上げているので、このペースだけ見ると決して戦闘力が無かったワケではないようにも見えます。

フェルスタッペンは「セーフティカーのタイミングによる不運が無ければ、上位を争えていたと思う」というコメントしてますね。

I think we did the best we could today. We had good pace and wewere just unfortunate with the timing of the safety car, if it weren’t for that, I really think that we would have been in a good place to fight up front.

via: Max Verstappen : What the teams said – Race day at the 2023 Singapore Grand Prix | Formula 1®

まあこれ見る限りは、鈴鹿ではまたいつものレッドブルの強さが戻ってきちゃう気がしますね。

あとついでにアルファタウリのことも触れておくと、ローソンがヒジョーにいい仕事しましたねえ。F1で初めてシンガポール走って、それで9位入賞は立派すぎる成績。体力的にも大変なレースで非常に堅実なペースを刻みましたし、デビュー3戦目としては文句なしのレースだったんじゃないでしょうか。……ていうか本当にローソン来季アルファタウリの正ドライバーになってしまうんじゃないだろうか。

角田は前戦に続き、またしてもほぼレースを戦えないまま終わってしまう形になってしまいましたが……速さは見せているので、あとはこれを結果に繋げられれば、というところなんですけどね。予選でタイムを出せずに集団の中でスタートすることになってしまう→集団の中でトラブルに巻き込まれるという流れはある意味典型的な悪い流れなので、鈴鹿ではまずきっちり予選でいいポジションにつけて欲しいところ。

そのほか

サインツにとっては最高のレースだったことは間違いないですが、ルクレールにとっては結構残念なレースでしたよねコレ。セーフティカー中のダブルストップで順位を失うことになり、表彰台も逃してしまう形になったので。ただ、ルクレール自身のコメントを見ている感じサバサバしている感じで、チーム自体のパフォーマンスアップを歓迎している感じ。ここ数戦の間で、サインツのほうが急激に噛み合い始めた一方でルクレールがなんか上手くいっていない感じなのが気にはなりますが。

予選で2台ともQ3に入ってみせたハース、決勝でも10位入賞を達成。どうせ今回も決勝ではダメなんやろ?と思っていたんですが(失礼)、すごいですね。ていうか、マグヌッセンもオコンのVSCが入る前くらいのタイミングでは14番手くらいに沈んでおり、VSCのタイミングでソフトタイヤに交換したらこれが上手くいったようで、最終的にラッセルの脱落にも助けられて10位。チームとしても実にマイアミ以来の入賞ということになるんですね。VSCが出たタイミングでは、ヒュルケンベルグのほうが前にいたことを考えると、ヒュルケンベルグにとっては悔しい結果かもしれないですね。

次戦の鈴鹿はフェルスタッペンのタイトル決定の可能性は無いものの、レッドブルコンストラクターズタイトル確定の可能性が濃厚。おそらく次はフェルスタッペンの調子も戻ると思われますし、そうなると見どころは上り調子のフェラーリがどこまでレッドブルに食らいつけるか、あとはスーパーフォーミュラで走っている鈴鹿でローソンがどこまで行けるか、あと角田はローソンに負けないよう頑張って欲しいといったところでしょうか。

なんかまだクソ暑い日々が続いていますし、いつもよりちょっと早い開催時期なコトもあって鈴鹿目前という印象が薄いんですが、今年も金曜日から現地観戦するつもりでおります。週末を楽しみに待ちましょう(どれくらい混雑するかがちょっと怖い)。