大須は萌えているか?

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三重県を制覇すべく名松線と伊賀鉄道に乗ってきた話

3/17の日曜日に、日帰りで乗り鉄してきた話。

駅メモ!』を始めて以降、愛知県や大阪・奈良・和歌山、東京・神奈川といったあたりの駅はすべてアクセスできたんですが、実のところ愛知県に接している県である三重・岐阜・静岡といったあたりがまだコンプできておりませんでした。いずれも、もうちょっとでコンプできる状態ではあったんですが。

なので、そろそろ三重県をコンプしようかと思い立ち、以前もお世話になったJR東海青空フリーパスを購入、名古屋駅から快速みえに乗り込んで三重県方面へ向かったのでした。

そして到着したのは松阪駅三重県でコンプできていない路線が名松線伊賀鉄道だったので、まずは名松線に乗ろうというワケです。降車ホームのとなりにちょうど名松線の車両が停まっていたんですが、なんか2両連結していた編成の切り離し作業をしており、切り離された2つの車両のどちらが次発の列車なのかよくわからん状態に。

しばらくすると、片方の車両の方向幕が「回送」となったため、もう片方の車両に乗れば良いんだなと理解できたんですが、ドアが開けられるようになるまではもうちょい待つ必要がありました。

いかにもなローカル線なので空いているのかな、と思いきや、松阪駅ですべてのボックスシートが埋まるくらいのお客さんは乗ってましたね。

名松線は松阪からウネウネと西に向かい、奈良県境に近い伊勢奥津までを結ぶ路線。「名松線」の「松」は松阪から取ったとして、名古屋方面に向かうのでもないのになんで「名」って付いとるねん、と疑問に感じたんですが、もともと名張まで結ぶことを考えていたんですね。

名松線は改正鉄道敷設法別表第81号にある、「奈良縣櫻井ヨリ榛原、三重縣名張ヲ經テ松阪ニ至ル鐵道名張ヨリ分岐シテ伊賀上野附近ニ至ル鐵道並榛原ヨリ分岐シ松山ヲ經テ吉野ニ至ル鐵道」の一部として敷設された。

このうち、伊賀鉄道(現在の伊賀鉄道伊賀線を開通させた会社だが、現在の伊賀鉄道とは別会社)が名張駅(後の西名張駅。近鉄に合併された後の1964年に廃止) - 伊賀神戸駅 - 伊賀上野駅間を改正鉄道敷設法成立と同じ1922年に開業させていたため、桜松線(おうしょうせん、桜井と松阪から各一文字を取った)の一部として、松阪駅から名張駅(後の西名張駅)を目指して工事が進められることになった。

しかし、1930年に参宮急行電鉄が現在の近鉄大阪線・山田線にあたる桜井駅 - 名張駅 - 参急中川駅(現在の伊勢中川駅) - 松阪駅 - 山田駅(現在の伊勢市駅)間を開通させたため、松阪 - 名張間の旅客輸送目的で名松線は建設意義を失った格好になり、1935年までに松阪駅 - 伊勢奥津駅間を開通させたにとどまった。

via: 名松線 - Wikipedia

初っ端から企画倒れというか、中途半端な形での開通を余儀なくされた路線というコトのようですが、現在も終点となっている伊勢奥津って山の中の小さな集落といった風情で、ここから松阪を結ぶだけの路線ってちょっとマニアックすぎんか、という気がしないでもありません。実際問題として過去廃線の危機もあったようですが、地元の反対運動などもあり現在まで存続している模様。

松阪から伊勢奥津までの道中は主に川沿いを蛇行しながらゆっくりと進み、1時間半近い時間が掛かります。ほんと昔ながらのローカル線。

途中、家城駅で13分くらいの停車時間があったんですが、なんかホームで写真撮ってる人が何人かいるなあ、と思ったら、名松線て松阪から家城が票券閉塞、家城から伊勢奥津までの間がスタフ閉塞で運行されているようで、家城駅ではその交換作業が見られるというコトなんですね。JRでスタフ閉塞が残っているのはこの名松線越美北線のみとのコトなので、なるほど鉄道マニア的には見逃せないシーンというワケか……。

終点の伊勢奥津で降りてみると、出口で地元の方がパンフレットと名松線の写真をまとめた冊子を配布してました。この名松線愛が過去の廃線危機を救ったのでしょうか。

伊勢奥津自体はこじんまりとした駅ですが、観光案内所のような施設が隣接しており、そこでちょっとお弁当も売られてました(いつも売っているのかは不明)。あと、SL時代の給水筒が残っているのもいいですね。

伊勢奥津は当然ほかの路線とは接続していない駅なので、このまま引き返すしかない……と思いきや、バスを乗り継いで名張まで行くルートが存在します。伊勢奥津の駅前から運行されている津市のコミュニティバスに乗って敷津というところまで行き、そこから三重交通のバスに乗り換えることで名張駅まで行けるんですよね。

ただし、調べてみるとこの敷津まで行くコミュニティバスは乗るのがなかなか難しい。

www.info.city.tsu.mie.jp

定時運行されているバスで敷津まで行く便はあるにはあるんですが、月・水・金のみ、朝6時56分に伊勢奥津駅前発車という形になっています。それ以降の時間は無し。なのでこれは使えない。

しかし、年に数回、桜の開花などで観光客が増える時期限定で敷津まで行くバスが運行されるパターンがあります。特に3月中旬から4月上旬の土日祝はミツマタと桜のシーズンというコトでほぼ毎週のようにこの期間限定バスが運行されており、伊勢奥津から名張までバスで行くことができる絶好のチャンス。

名松線伊賀鉄道をまとめて乗りたかった私としては、このタイミングを伺っていたんですよね。伊勢奥津から敷津までは15分くらい、敷津で5分くらい待って三重交通バスに乗り換え、そこから名張駅までは55分くらいという感じでした。なお、敷津へ行くコミュニティバスがすべて三重交通に連絡しているワケではないようなので、くれぐれも事前にバスの時刻表の確認を。

この三重交通のバスもなかなか面白くて、そもそも敷津のバス停が道路の片側にしか無く、名張方面に向かう車線にはバス停がありません。じゃあ反対車線のバス停の前で待つのが正解なのかというとそうではなく、この何も無い場所で待っているのが正解。こんなん完全な初見殺しですが、一応反対車線にあるバス停の標識にも、名張方面は反対側で待つよう注意書きが書かれています。

そして名張までの道中も、「こんなとこ路線バスが走るの……?」というような狭い道を走りまくり、挙げ句道路上をなんか横切っているなと思ったらサルだった、なんてコトまでありました。

なお、三重交通の運賃は1000円弱だったと思いますが、交通系ICカードは使えたので良かった良かった(津市コミュニティバスは200円で現金のみ)。

名張からは近鉄に乗って伊賀神戸まで行き、そこから伊賀鉄道に乗り換えます。バスの所要時間を考えると、実は伊勢奥津から名松線で折り返して松阪で近鉄に乗り換える形でもあまり時間的には変わらない説があるんですが、来た道をそのまま引き返すのが個人的にあまり好きでは無いので、これでいいのだ。それに、ある特定の時期だけ通れるルートってちょっとテンション上がりません?

伊賀鉄道はなんかむかーし乗ったような記憶はあるんですが、もはやほとんど覚えていません。よく見ると交通系ICカードにも対応しているので感心したんですが、利用可能になったのが2024年3月9日からとのことなので、まさに対応したての状況だったようです。

www.city.iga.lg.jp

なので私はApple WatchモバイルSuicaで乗車。車内で検札があったので一瞬キョトンとしてしまったんですが、「モバイルSuicaで乗車しました」と言えばOKでした。

伊賀鉄道は東急のお下がりの車両を使っているのかと思いますが、車内は一部をクロスシートにしたりして、かなりキレイに改装されているのが印象的ですね。かなり新しい感じがして驚きました。しかし、クロスシートが固定されてるのはちょっと謎でしたが。

伊賀鉄道伊賀上野まで行ければ、そこで関西本線に乗り換えて名古屋方面に戻れるんですが、伊賀鉄道の難点として伊賀上野まで直通してくれる列車が意外と少ないです。半分くらいの列車は伊賀上野の3駅手前の上野市止まりで、自分が乗ったのもそれ。

事前に調べてみたとき、名張から伊賀上野まで一本でいく三重交通のバスがあるコトが判明したんですが、しかしせっかくだから伊賀鉄道にも乗りたいよなあ……というコトでこれはボツにしたんですよね。ただ、実は自分が乗った列車が上野市駅に到着する時間とまったく同時刻に、このバスが上野市駅のバス停を発車するというダイヤになっていました。

これ、ワンチャン鉄道降りてからこのバスに乗れんかな?と思ったんですが、このバスは鉄道と連絡するという概念はまったく無いらしく、改札を出た私の目の前をさっそうと走り去っていきました。……どうでもいいけど、なんでこの駅は本来の駅名より大きく「忍者市駅」と書かれているんだろう。

で、ここからどうするかと言えば、伊賀上野駅まで歩きます。Googleマップで調べたら徒歩40分程度と出たので、それくらいならウォーキングがてら歩いたるわと。ただ、歩き始めて早々に結構な雨が降ってまいりまして、やっぱりタクシー使えば良かったと思わなくもなかったです。あるいは、上野市駅で45分くらい待つと、伊賀上野行きの列車もあったんですが。

上野市の駅前はなかなか賑やかな感じだったんですが、一方の伊賀上野駅は閑散としておりました。伊賀鉄道とJRの接続駅なのに、この差はなんなんだろうか。まあ、JR関西本線もこの辺は超ローカル区間なので、昼間は1時間に1本しか無いような感じだけど……。

ともあれ、これで三重県の駅は一通りアクセスできて良かった良かった。このあと、別の日に静岡県も制覇しに出かけたりしたんですが、それはまた記事を改めます。

あと、ダイヤ改正のせいか、中央本線に投入されていた新型通勤車両(315系)が亀山からの関西本線にも投入されており、全席ロングシートにだったのがちょっと悲しかったです。