※画像多めです。
この記事は、「修理中の姫路城を見に逝った話」の続きです。
姫路城を見たあとは、ついでに以前ふと耳にした「姫路モノレール」を見に逝ってみるコトにしました。そもそも姫路にモノレールなんてあったんかい、という話なんですが、とっくの昔に廃線になっているとのこと。ただ、そのは廃線になったモノレールの線路(?)が現存しており、廃線マニアな方々には有名なんだとか。そして去年からは使用されていたモノレールの車両が常設展示されるようになったみたいで。
迂闊なコトに営業当時モノレールがどういうルートを通っていたのか調べていなかったので、まずは車両が展示されているという「手柄山交流ステーション」を目指してみるコトにしました。
1966年にこの手柄山というところで「姫路大博覧会」というのが開催されたそうで、モノレールは姫路駅からその博覧会への輸送手段として開業したとのこと。そしてこの手柄山交流ステーションが当時のモノレール終着駅だったみたいで。ただ、終着駅とはいえ姫路駅から歩いてもせいぜい30分程度の距離。
ホントは、ここからさらに路線を延ばす計画だったらしいんですが、姫路博終了後には利用客が一気に減り、わずか8年で営業休止に追い込まれたとのこと。もう40年近く昔の話なんですねぇ。
姫路って駅の北側はアーケードや商業施設が建ち並ぶ賑やかなエリアになっており、その先に姫路城がどーんとある感じ。昔ながらの城下町って感じですね。一方、手柄山は駅の南西にあり、こちらはオフィスや工場なんかが集まっているエリア。訪れたのは土曜日だったので、人が多かった駅北側とは打って変わって静かな雰囲気でした。駅前から大きな通りを辿って手柄山を目指したんですが、目的地手前で廃線っぽいものを発見。
途中でぶった切れとる。昔はこれが手柄山の駅まで続いていたんでしょう。手柄山は公園として整備されており、市の施設やら水族館もあったりします。交流ステーションでモノレールだけ見物する分には無料。写真左手の建物が交流ステーション。
建物内に入ると居ましたモノレール。
「祝 開通」と書かれているのは開通当時の様子を再現しているみたいで、当時の看板やホームのアナウンスまで再現しているという凝りよう。巨費を投じながら8年で休止に追い込まれたモノレールなんて、市にしてみれば失政の象徴みたいなモンじゃないかって気もするんですが、むしろそれを観光資源にするっていうのもたくましい話です。
ただ、すぐ近くで喋っていた地元民と思しきおじいちゃん曰く、「このモノレール作ったの、今の市長のお父ちゃんやからな」とのこと。あー、そういうコトかー。志半ばで挫折した父の仕事に華を添えようと……良い話だなー……なのかなー……?でもたまたまその場に居合わせた人がそんな話しているくらいなので、地元じゃ有名な話なんでしょうね。
モノレールの中にも入れるようになってるんですけど、結構良いシート使ってます。これ、1960年代の車両ってコトを考えるとかなりの未来っぷりだと思うんですけど。姫路博が開催された1966年って『ウルトラQ』が放映されていたり、ビートルズが来日した年ですよ?
車両を設計したのはロッキード社で、車体には後にF1のモノコックにも使用されるアルミハニカム構造材を用いていたとのこと。ロッキード社が航空機メーカーであるコトを考えれば自然な流れなんですけど、当時のF1より進んでるぞこのモノレール……。それだけにたった8年で休業というその後の歴史が一層もの悲しいですが。
モノレールの車両を堪能したあとは、廃線を辿ってみます。どうやら、手柄山のすぐ東にある川に沿っているみたいですね。
ちなみに、川には白鷺っぽい鳥も居ました。さすが姫路(姫路城の別名は「白鷺城」)。
途中、山陽本線と新幹線の高架とクロスしますが、山陽本線の高架とはちょうど高さが被るのでその部分だけ線路が撤去されており、山陽新幹線はそのすぐ上を通っています。
電線もこの線路を避けるように張られており、もはや無用の長物であるこの線路が不思議と風景に溶け込んでいる気も。
ツタが大量にからまってどこぞの天空の城みたいになっている部分もあり、これはこれで味があって良いのかも。
そしてこの廃線のハイライトがこの線路の途切れた先にある建物。あそこが、姫路と手柄山の間にあった途中駅だったそうで。
なんとここ、商店と集合住宅の入っている建物の中に線路が通っていて、その中が駅になっているという。なにこの造り、未来を先取りしすぎ(くどいようですが1960年代のものです)。
そして駅の名前は「大将軍駅」。なんだよ大将軍て、昔ロッテが出してたシール入りチョコかよ(ビックリマンではない)。あれ昔集めてたよ。しかし40年前のモノレールに未来を感じるとは……野心的過ぎたんだな、たぶん……セガで言うドリームキャストみたいなものですねきっと(?)。
でもここ、姫路駅からはもう徒歩5~10分程度の場所でして、利用客も少なかったみたいです。そりゃ当たり前だな……。ここから姫路駅の北口近くまで廃線は続くのですが、ここら辺は線路のすぐ下に建物が建ち並んでおります。この状態じゃ迂闊に線路の撤去もできませんね。
とはいえかなりの年数が経過しているワケで、老朽化による倒壊もあり得るんじゃないかって気がしますが。「どんな建物だって30年も経てば補修しなくてはならない」って修理中の姫路城のVTRに出演してた人が言ってましたよ?
予算の問題とかもあるんでしょうが、どっかのタイミングで撤去はしなくちゃならないでしょう。倒壊してからじゃ遅いし。ただ、姫路という結構大きな駅のすぐそばにこんなわけのわからない建造物が残っているというのは実に面白くもあります。この奇妙な風景は、一体いつまで見られるんでしょうか。
そういえば愛知県にも7~8年前に万博をきっかけに開業し、万博終了後利用客が伸び悩み赤字垂れ流しているハイテク路線があったような気もしますが、アレ同じようなコトになったりはしないよね……?