大須は萌えているか?

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メルセデス 新型Aクラスを注文しました

実際に運転するまで黙っておこうかと思ったんだけど、ちょうど若者向けのクルマの話なんかを引き合いに出しているlastlineさんのブログ記事なんかを読んでたらつい何か書きたくなったのでまぁいいや。ちょうど今日、日本での公式リリース日でもあるハズだし。

先日、ちょっと前に書いた記事のいきさつを経て、私とかーちゃんの共同購入という形でメルセデス・ベンツ Aクラスを注文しました。納車は3月中の予定(船便の気分次第)。

Car Watch メルセデス・ベンツ「Aクラス」

クルマを選ぶに当たって、かーちゃんがいつも挙げる前提条件は以下の通り。

  1. 5ドアハッチバックであること(使い勝手の面でこれは譲れないらしい)
  2. ボディサイズが大きすぎないこと
  3. 街中でバンバン見かけるようなクルマはやだ
  4. 高価過ぎないこと

そしてかーちゃんが現在乗っているクルマはプジョー207。そうなると、かーちゃん自身は自然と候補としてプジョー208に目が向いていたのですが、私はメルセデスAクラスを猛プッシュ。そして近所のヤナセさんが下取り査定を頑張ってくれたおかげでAクラスに決まりました。一番ベーシックなグレードにちょいとオプション足したヤツですけどね。

なんで私がAクラスをプッシュしたかと言えば、まずAクラスがかーちゃんの挙げる前提条件をそれなりには満たしているコト(価格面では「プジョーより高い!」とか言われましたが)、そしてこのブログをご覧頂けばわかるように私はF1好き。メルセデスといえば90年代にF1復帰して以降、フェラーリルノーと並ぶF1の顔とも言えるメーカーです。そのメルセデスが、従来の小太り体型からスポーティなスタイルに一変したAクラスをリリースするとあっては、そりゃ興味持ちますよ。

興味深いのは外見だけではありません。新型Aクラスが搭載するエンジンは直4・1.6Lのダウンサイジングターボ。「エコ方向に振ったターボ」として欧州車では珍しくなくなっている感じですが、その流れを受けてF1でも2014年からV6・1.6Lターボエンジンが採用されますね。もちろん中身は全然別物なんですが、F1にまで採用されるダウンサイジングターボという技術には興味が向くというもの。

それから、トランスミッションは従来のCVTから7速DCTに変更。DCTとは「デュアルクラッチトランスミッション」の略で、まー詳しくはリンク先のWikipediaをご覧ください。要は従来のトルコンATとは違い、構造としてはMT車に近く、かつクラッチが2系統あるのでシフトチェンジが速い。そしてAクラスの場合、マニュアルモードにするとステアリング裏にあるパドルシフトでF1のセミATの如く操作できるワケですよ。しかも7速。そそるでしょ。

新型Aクラスは欧州で言う「Cセグメント」と呼ばれるクラスに属しますが、このクラスで圧倒的人気を誇るのはフォルクスワーゲン ゴルフ。そしてダウンサイジングターボもDCTも、フォルクスワーゲンが火付け役です。そんなコトを考えるとAクラスよりゴルフの方が良いんじゃ無いの、という見方もできるんですが、ゴルフはなんだかんだ言って「実用車」というイメージが強いんですよね。クルマとして非常に優秀なんですけど、優秀すぎて面白みに欠けるというか。

その点、Aクラスはキャッチーなんですよねぇ。従来のずんぐりしたボディの面影を全く残さないスタイリング、パドルシフトの採用、それから日本では展開されるのか知りませんが、専用アプリを用いたiPhone連携なんて機能もありますね。クルマとしての性能に、印象的なスタイルと面白そうなギミックを加えるコトにより醸し出される魅力。言うなれば、新型Aクラスはクルマというよりガジェットとしての魅力を感じるんですよ。

今回、Aクラスが大幅な変貌を遂げた最大の理由はメルセデスオーナーの平均年齢を引き下げること。

実はこの変貌の裏は、Aクラスだけでなく、メルセデス・ベンツ全体の問題がからんでいる。それは若返りだ。サイラー氏は言う。

「現行オーナーの平均年齢は50代。これを30~40代に持って行きたいんです」 私は正直驚いた。まさか50代とは。笑い事ではない。今のメルセデスの問題は、我が日本と同じ“将来”の問題なのだ。

via: 【海外試乗】 メルセデス・ベンツ Aクラス 試乗レポート 【 carview 】

興味深いのは、これも先日発表されたばかりのトヨタの新型クラウンでも、開発者が同様の発言をしていたコト。

開発の指揮を執った製品企画本部の山本卓チーフエンジニアは、大変貌したデザインや求めやすい価格設定としたハイブリッド車(HV)で「40代からのお客様も開拓したい」と顧客層の若返りを狙う。

クラウンの中心保有層は、現状では58歳から60歳。山本氏はこうした保有層の人口は今後減少するため「新規顧客を開拓しないと先がないというのがクラウンの課題」と、14代目の開発に当たって肝に銘じたという。

via: 【トヨタ クラウン 新型発売】山本チーフエンジニア、40代を開拓したい | レスポンス

でもねー、Aクラスと同じようなテーマを掲げつつも、クラウンの場合大胆に変わったのは実はフロントマスクだけで、ボディサイズや内装に関して言うとかなりコンサバなクルマという印象を持ちます。ステアリングやメーターの意匠なんて、おっさん臭いままですよ。結局クラウンはクラウンなんだよなぁと。

toyota.jp クラウン アスリート | エクステリア | ギャラリー

Aクラスの内装はというと、おっさん臭さはありません。かといって、初代Aクラスのような笑えるくらいのチープさはなく、質感もかなり良いです。内装色も何パターンかあるしね。

ヤナセ東京支店が「メルセデス・ベンツAクラス」を参考展示

顔だけドンと変えて「若返りでござい」というクラウンに対して、ボディサイズを根本的に見直し、デザインも内外装全て見直し、そして面白そうなギミックも用意しているAクラス。そして極めつけがやはりこのムービーですよねぇ。

 

クラウンはジャン・レノビートたけしが出演するCMを用意して、これはこれで話題性はあるんですけど、でもこれって誰でも知っている有名人を起用したいわば「八方美人」的なCMなんですよね。

 

そこいくと、メルセデスのはエッジ効いてるなぁと。貞本義行がキャラクターデザインで川井憲次が音楽を担当しProduction I.Gが制作したアニメムービーなんて、完全にエヴァ世代をターゲットにしているワケですよ。あと印象的だったのは、ムービーの最後にラーメンどんぶりの底からスリーポインテッドスターが浮かび上がってくるところ。

特に日本では、メルセデスって高級車ブランドとしてのイメージが強くって「SクラスとEクラスだけがメルセデス、あとは認めん」みたいな価値観の人も多いワケですが、そういう人が見たら卒倒しそうなムービーでしょうコレって。アニメってだけでも拒絶反応起こしそうなのに、オチがラーメンどんぶりの底からベンツマークですよ。Sクラスオーナー憤死しちゃかもしれませんよ。

つまり、メルセデスはそういう既存のブランドイメージを一度本気でぶっ壊してリビルドするつもりなんだなぁと。今までメルセデス・ベンツに興味を持ってなかった層に本気でアピールしてきている。その「本気ぶり」も気になって、Aクラスに興味を持ったワケです。

ぶっちゃけ今まではメルセデスなんて興味ないっつーか「高くて買えたモンじゃないクルマ」としか思ってなかったし、かといって従来のAクラスは正直中途半端な印象が強く「あれ買うくらいならヴィッツRSでも買うべき」と思っておりました。

でも、今回のAクラスはターゲットユーザーを明確にして、コンセプトに一本筋の通ったクルマになっている印象を持ちます。そしてそれは、メルセデス・ベンツというブランドの枠組みそのものを再構築するもの。でもそれは決してブランドの安売りを意味するモノではありません。

まー実際のところは、ディーラーに足を運んだ際にはまだ展示車も試乗車も無い状態だったので、内装やパワートレインが共通化されている新型Bクラスを試乗しただけで決めちゃったんですけど。でもホント、安っぽさはほとんど感じないんですよ。

あ、ただBクラスに乗った限りで言うと、デザインこそスポーティなものの、絶対的な動力性能は大して期待してません。Bクラスを「エコモード」で走らせてみたら、出足が蹴飛ばしたくなるくらいもっさりしてましたからね。ただ、繰り返しなりますがAクラスの魅力はクルマとしてのスペックよりもガジェット的な面白さにあると思ってます。若者向けにクルマを売りたいと考えたときに、このAクラスの魅力というのは何かヒントになような気がするんですよね。

やっぱり新しい顧客を開拓せんとするときは、なによりメーカーの「覚悟」が試される気がしますね。