なんか各チームの2013年用の新車が発表され始めてから、『ステップノーズ』とかってキーワードでこのブログにたどり着く人が増えている模様。そんなにみんなあの段差ノーズのコト好きなんですか。たぶん、このブログで去年の今頃書いたステップノーズの記事がヒットしているんでしょうね。
F1の「ステップノーズ」がダサくて鼻血噴くレベル - 大須は萌えているか?
とはいえ、今年のフェラーリやマクラーレン、それからザウバーあたりのニューマシンを見ると、あの無残な段差はものの見事に消え去っています。
- Button and Perez unveil the McLaren MP4-28 - The Official F1 Website
- Ferrari reveal evolutionary F138 in Maranello - The Official F1 Website
- Swiss launch for new-look Sauber C32 - The Official F1 Website
しかしこれは、段差を生み出す原因となったノーズの高さを制限するレギュレーションが無くなったからではなく、段差に「カバー」を取り付けても良いコトになったため。昨年トップチームでは唯一ステップノーズを採用しなかったマクラーレンですが、今年はノーズに段差を設けてカバーをしている模様。
マクラーレンは“段差カバー”を採用。空力的な判断で (オートスポーツweb) - Yahoo!ニュース
この段差カバーに関する規定は、2013年F1テクニカルレギュレーション3条7項9に記載されています。
With the exception of an optional, single piece, non-structural fairing of prescribed laminate (whose precise lay-up may be found in the Appendix to the regulations) which may not be more than 625mm above the reference plane at any point, no bodywork situated more than 1950mm forward of rear face of the cockpit entry template may be more than 550mm above the reference plane.
via: 2013 F1 Technical Regulations - Published on 11.12.2012(PDF)
要はノーズの高さは2012年と同じ550mmだけど、オプションとして単一の非構造的整流板、つまり段差カバーは625mmまでOKというコト。この625mmというのは、2012年に規則が変わる前の高さ。カバーさえ付ければ、2011年以前と同じ見た目になるというコトです。
もともとノーズの高さが制限された主な理由は、他のマシンの側面に衝突した際にノーズ部分がコクピットのドライバーに当たる危険性を低減させるため。なので、ノーズの構造体ではない軽量のカバー部分だけは高くなってても問題無いというコトなんでしょうね。
ただしこれは「オプション」であり、必ずカバーを付ける必要はありません。なので、例えばロータスの新車はカバーを付けず、ノーズの段差をオモテに見せたままです。
Lotus first to launch with the new E21 - The Official F1 Website
F1は当然競争の世界なので、マシンをデザインするときにまず優先されるのは性能です。「こっちの方が性能は劣るけど見た目カッコいいから採用」という判断は有り得ない。ロータスはカバーの分だけノーズの重量が増加するコトを嫌い、マクラーレンやフェラーリは空力面でのメリットが大きいという理由でこれを採用したと(まぁそれでも多少は見た目の問題も考えてのコトだとは思いますが)。
この辺、チームによって判断が分かれたのは興味深いところ。カバーの重量なんてたかが知れている(たぶん数十グラムとかそういうレベルの話)と思うので、そこまでパフォーマンスの違いは無いと思うんですが。ただ、実際このカバーがどんな風に取り付けられているのかがよくわかってないんですが。ぱっと見継ぎ目とかも見えないので、ノーズ全体をすぽっと覆うようになってんのかなぁ。