思ったより動きの少ないレースだったような……F1カナダGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 GRAND PRIX HEINEKEN DU CANADA 2018 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: RACE: Vettel wins in Canada to seize championship lead(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - race day in Canada
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Canada
フライングチェッカー
今回のレースで一番印象的だったのは、あろうことかチェッカーフラッグがフライングで振られてしまったコトでしょう。
F1カナダGPで起きたチェッカーフラッグのミスを受け、FIAがレース手順の再検証を表明
これはフラッグを振ったモデルさんの責任ではなく、スターターらの伝達ミスによって1周早く振るよう指示が出されてしまった、というコトのようで。間違えて早く振っちゃったにせよ、競技規則上はチェッカーフラッグが振られたらレース終了。これ、本来のファイナルラップでポイント圏内の順位変動が無かったから良かったですけど、そうじゃ無かったらもっと騒ぎになってたとこですよね。
しかしこのチェッカー振ったウィニー・ハーロウさん、「私のせいじゃないわ」ってTweetをトップに固定表示しているあたりは力強いです。日本の有名人とかだと、炎上を恐れて謝罪しちゃったりしそうなところですが、自分に非がないと思えばきっぱりそう言う、という姿勢は見習いたいところであります。
“IT WASNT ME” *Shaggy Voice* when they tell you to wave the flag a lap too early 😂😩😡🏁🏁 but I’m so grateful no one was hurt! 🙏🏽🏎 @F1 pic.twitter.com/2wBmH3SDOP
— ♔Winnie Harlow♔ (@winnieharlow) 2018年6月10日
しかし、こんな事例過去そんなに無かったんじゃないの、と思ったら2014年の中国GPで発生してた。ていうか、自分もブログ記事にちゃんと書いてた。すっかり忘れてた……。
それから今回のレース、中継の最中は全然気付かなかったんですが、本来の周回数(56周)より早い周回(55周)の段階でチェッカーフラッグが掲示されてしまっていたみたいで、結果として54周レースとなってしまいました。
このときもポイントフィニッシュに影響がある話では無かったので大事にはならなかった感じではありますが、モータースポーツの中でも最も洗練された運営が為されているであろうF1においても、こういうポカミスがあるんだなぁという話ではあります。
それこそ、チェッカーなんて人が振るんじゃ無くて、フィニッシュラインの横にデカいスクリーンでも置いといて、規定周回数に達したら自動的にチェッカー表示するなんて仕組みにもできるんでしょうけど、やはりチェッカーフラッグは人が振り、完走したレーサーたちを祝福するというのがコダワリでもあるんでしょう。
……まあ、それはそれとして、再発防止はちゃんとした方が良いですね。
ベッテル強かった
レースを制したのはポールスタートのベッテル、トップの座を一度も譲らない力強いレースでした。本人は結構大変だったみたいですけど。にしても、本来であればメルセデスが非常に強いサーキットで、フェラーリがこれだけ力強い勝ち方をしたというのは結構ビックリですね。パワーユニットをアップデートした恩恵があったにせよ。
まーライコネンがイマイチパッとしなかったコトを考えると、フェラーリというかベッテルの力なのかも知れませんけど。
一方でハミルトン、ここを大得意としているハズなのに、表彰台争いに絡むコトなく5位で終わってしまいました。予選でも安定感を欠いていたターン10でリヤが滑るシーンも見受けられ、やっぱりこのセクター3でのマシン挙動が最後までハミルトンを苦しめていた感じでしょうか。スタートからパワーダウンに苦しめられたともコメントしているので、5位に入れたのはむしろ上々、というのも偽らざる心境なのかも。
次のポールリカールでメルセデスも新ユニットを投入するみたいなので、仕切り直しですかね。逆に、次もフェラーリが取るようなコトがあると、チャンピオンシップは俄然混沌としてきそうですけど。
どこへ行く、アロンソとマクラーレン
今回のレースがF1通算300戦目という節目を迎えていたアロンソは、モナコに続きマシントラブルでリタイヤ。シーズン序盤は思いの外信頼性を発揮していたマクラーレンですが、ここに来て本領を発揮してきたようです(?)。アロンソのマシンがスローダウンしたときのザク・ブラウンの表情はなんとも印象的でありました。
ルノーPU勢の中ではレッドブルが最速、ルノーがそこそこ、マクラーレンがダメダメと同じPU使ってる中でも明暗がくっきり分かれてしまっており、余計にアロンソとしては失望感が深いレースになったんじゃないですかねえ。
ここに来て、アロンソが今シーズン限りでF1を去るという噂が急激に強まってきており、マクラーレンがインディ参戦を前向きに考えているだとか、アロンソ自身が「重大な決断を下す」みたいな発言をしたとかって話が余計噂を加速させている感じ。まー、アロンソにしてみればこれ以上F1でのモチベーションを保ち続けるのは難しいかもしれませんね。
一方で、マクラーレンにしてみたら、アロンソが離れてしまうのをなんとしても阻止したい様子。インディ参戦を匂わせているのだって、半分以上「アロンソをキープするため」なように見えるし。正直、F1の成績だけ見ると、マクラーレンは最早完全に「二流」のチームなんですよね。ただ、マクラーレンというチームはそのブランドを強く訴求しているチームなので、このまま二流のイメージが固着してしまうのは致命傷になりかねない。
だからこそ、アロンソみたいな自他共に認める「一流」ドライバーを1人はキープしておきたいし、今のF1の状況を見る限りはインディの方が勝つ目があるかもしれない、みたいな意図が透けて見えるような気がするんですけども、うがち過ぎなかな。
そのほか
トロロッソはハートレイが1周目にストロールの巻き添えを食ってリタイヤ、ガスリーも11位フィニッシュとポイントに届かない結果となってしまいましたが、PUのアップデート自体はドライバーにも好評だったようで、それだけにルノーとホンダを天秤に掛けているレッドブルは悩みが深くなっているのかもしれません。
レッドブル、"あらゆる面で向上した"ホンダPUのパフォーマンスを分析へ。ルノーは契約継続を促す
レッドブルの都合に振り回されているルノーにしてみれば良い迷惑ですが、ただレッドブルのような強豪チームを自分たちの陣営に繋ぎ止めておきたい、という思いもあるでしょう。レッドブル抜けたら、勝てるチームが居なくなっちゃいますからね(マクラーレンには期待しちゃいないでしょう)。この辺も、それぞれの思惑が絡み合ってる感が面白いですねえ。
そしてガスリーを押さえきって10位ポイントゲットを果たしたルクレール、途中ではアロンソと好バトルを演じたコトもあって、ますます評価がうなぎ登りですね。フェラーリではベッテルの好調に比してライコネンがイマイチ振るわないので、来季はルクレールを乗せるべき、という声も上がってますが……。一方で、ルクレールのチームメイトであるエリクソンもまったく言い訳できない立場に追い込まれちゃってますが大丈夫でしょうか。でも彼はシーズン途中で追い出されたりするコトは無いんだろうなぁ(ヒント:お金)。