ハミルトンはまたここでタイトル決めましたね。F1メキシコGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 GRAN PREMIO DE MÉXICO 2018 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: F1: Mexican Grand Prix 2018 report - Verstappen wins in Mexico as Hamilton takes fifth title(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - Race day in mexico
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Mexico
タイヤを巡る混乱
ドライバーズタイトル決定戦となったこのレースですが、しかし想像以上にメルセデスが大苦戦のレースともなりましたねえ。どこのチームも想定以上のタイヤの性能劣化に苦しめられていた感じはしますが、その中でもメルセデスは一番といってもいいレベルで酷かった。ボタスなんて、唯一3回もピット入っちゃうくらいだし(最後はフリーストップだったとはいえ)。
レース後のコメントで、それはもう優等生的な謝辞を述べたハミルトンでも、レースについては「マジヤバかった」(pretty horrible)と言っているくらいですし。それでもハミルトンにしてみればタイトルを決めたワケですし、終わりよければ……という感じでもありましょうが。しかし、メルセデスにとっては課題の残るレースであったのも事実ですね。一応まだコンストラクターズタイトルは決まって無いしね。……そういや、2戦連続で表彰台でドイツ国歌が流れなかったのって、今シーズン初じゃないですか?
メルセデスに比べるとフェルスタッペンはスピードを稼ぎつつも上手くタイヤマネージメントしてましたよね。その気になれば1ストップでも行けたんじゃないかっていう。ハミルトン、ベッテルが2回目のストップを行ったのでフェルスタッペンも入りましたけど、保険って感じでしたしねえ。
上位陣のタイヤの損耗が目立ったために「タイヤに厳しいレース」という印象を受けましたが、6位以降に目を向けるとハイパーソフトスタートからのスーパーソフトへスイッチして1ストップのまま走り切ったヒュルケンベルグ、ルクレールが6位と7位、エリクソンが9位に入賞してるんですよね。8位のバンドーンはウルトラソフトスタートでスーパーソフトに切り替えた1ストップ組。
敢えてQ3に進出しなかったフォースインディア勢は2台ともトラブルに巻き込まれてしまったので評価が難しいところではありますが。ただ、ペレスなんかは完全に2ストップ作戦の構えだったように見えますし、だとするとポイントゲットは結構厳しかったんじゃないかなー。1ストップ勢はスーパーソフトを50周以上引っ張って見せましたが、意外とコンスタントに走れてるんですよね。
てか、バンドーンはスタートがイマイチでほぼ最後尾まで順位を落としてからの追い上げですし、エリクソンもピットで時間掛かりすぎて最後尾まで落っこちてからの追い上げ。なんやかんやで10位フィニッシュしたガスリーは元々PU交換で最後尾スタートだったワケですし、この3人はホント上手くやりましたよね。4台もリタイヤが出たのに助けられた部分はあったにせよ。
めちゃくちゃ運の無い2人
ポールポジションからのスタートだったリカルドは、蹴り出しで遅れてしまい表彰台圏内を争う展開に。それでも3位表彰台はイケるかと思いきや、油圧系のトラブルでマシンストップ。レース後のコメントで「すべてが絶望的だ」「このクルマは呪われている」とまで言っており、まあこの状況を見ていると、とりあえずレッドブルを離れてみるというのは本人のメンタル的には良いのかも知れんね……。
“Everything just feels hopeless,” he said. “I honestly… don’t see the point coming on Sunday. I don’t see the point doing the next two races. I haven’t had a clean race all weekend in so long. I’m not superstitious or any of that bull****, but the car is cursed.”
via: F1: ‘The car is cursed’ – Ricciardo vents after second-straight DNF
そしてアロンソはコース上で拾ったデブリがマシンに刺さった結果トラブルが生じてリタイヤという、本人曰く「百万にひとつの」(one in a million case)不運ぶり。……いやさすがに、もうちょっと高い確率で起きている気がする。アロンソもさー、一応あと残り2レースなんですけどねー。今のマクラーレンで表彰台は望むべくもないとしても、最後までポイント圏内で暴れ回って欲しいもんですが。今日のレースはドライバーとチームのマネージメント能力と戦略が試される展開だっただけに、アロンソには生き残ってもらいたかったですねえ。
そういや完全に余談ですが、レース後行われたハミルトンのチャンピオン獲得記者会見で、フェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)という名前の記者がハミルトンに質問しようとしたところ、「フェルナンドが僕に質問するとは思わなかった!」とジョークを言う一幕があったようで。この記者さん、「(本名は)少し長いんだけど短縮した」と言っており、なんかすごく狙ってそう名乗ってる感があって面白いです。挙げ句、ハミルトンに「運転できるの?」とか逆に質問されてるし。
Q: (Fernando Alonso – Motorlat) The question…
LH: Your name is Fernando Alonso.
Q: (Fernando Alonso – Motorlat) Yeah. A little longer but I shortened it.
LH: I never thought Fernando would be asking me questions!
Q: (Fernando Alonso – Motorlat) A pleasure for myself.
LH: Can you drive?
Q: (Fernando Alonso – Motorlat) Not that fast but I think I can drive.
タイトル決まって
今年も変わらずメルセデスがダブルタイトルという形になりそうですが、にしてもフェラーリはもったいないシーズンになっちゃいましたねえ。単純なクルマのパフォーマンスを見れば、今年はメルセデスに勝っていても不思議じゃ無かったワケですし。後半戦の大失速が痛恨でした。これだけ速いクルマと、セバスチャン・ベッテルを擁しながらも、残り2戦を残してハミルトンにタイトルを決められてしまったのは残念としか。
チームの戦略が空回っていたのもそうですし、アップデートが不発どころかパフォーマンスを落としているのにいつまでも気付かなかったというお粗末ぶりもそうですし、そんな中焦れてミスを連発してしまったベッテルもそうなんですけど、途中までは上手く噛み合っていた歯車が後半どんどん狂っていってしまった。
一方のハミルトンとメルセデスは、シーズンを通してパフォーマンスを維持する術を心得てますよね。そこがさすがディフェンディングチャンピオンというか、シーズン前半にフェラーリからの猛攻を受けても、後半できっちり立て直す総合力、これがスゴイ。ハミルトン自身、4度のタイトルを獲ってもなお「どうすればもっと良くなる?」と考え抜いて、今年はドライビングも、それ以外の時間の過ごし方についても今までより高い領域に到達するコトができた、みたいなコメントしてますね。
“It’s definitely the best year,” said Hamilton, who climbed the pit-lane fence after his team photo to celebrate with fans. “Ultimately it was the goal. When I won the championship last year, I was like how am I going to improve? How can I be fitter? How can I be more focused?
“How can I manage my time better and how can I just be a better all-round driver, not just in the car, but also in my team, in the garage, with my engineers, back in the factory? Just in all areas.
“This year I have been able to lift them all up. I don’t know if that’s something that comes with age. But I’m sure the experience helps. I honestly feel like I’ve performed my best this year. So I’m very happy with how it’s gone.”
via: 2018 my best year in F1 – Hamilton on becoming five-time world champion
SNSが大好きで、記者会見中でもスマホいじったり、不遜な態度を取ったりしたコトもありましたけど、そういや今年のハミルトンってそういうお行儀の悪い話ってあんまり聞かなかったような。なんにせよ、これだけの強さを見せつけられてはもうイヤでも納得せざるを得ませんが。こうやって、「俺はまだまだ進化しているし、今年はそれを成し遂げた」って胸を張って言えるってスゴイよね。
ベッテルにしてみれば、これでワールドチャンピオンの獲得数ではハミルトンに追い抜かれてしまった格好。本人にしてみればめちゃくちゃ悔しいでしょうし、来年はぜひ更に強くなってきて欲しいものです。いやだって、そうじゃないと今のハミルトンとメルセデス止められないし……いやドイツの科学力は世界一なんで仕方無いんですけど……。