大須は萌えているか?

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『信長の忍び』に今更ハマった話

先月、岐阜城に行ったときにポスターを見かけて気になっていた『信長の忍び』というアニメがあるんですが、その後ものは試しと原作のコミックを読んでみたのでした。

信長の忍び 1 (ジェッツコミックス)
重野 なおき
白泉社

そしたらめっちゃハマりました。今出ている最新14巻までKindleで揃えてしまった挙げ句、同じ作者さんが描いている『信長の忍び外伝 尾張統一記』(全4巻)と、

信長の忍び外伝 尾張統一記 1 (ジェッツコミックス)
重野なおき
白泉社

『軍師 黒田官兵衛伝』(4巻まで)も揃えてしまう有様。

軍師 黒田官兵衛伝 1 (ジェッツコミックス)
重野なおき
白泉社

信長の忍び』1巻の発売日を見てみると2009年となっており、もう単行本出始めて10年経つっていうのに今まで読んでいなかったのが痛恨でありました。そういやアニメ化されたときに名前をちらっと見たようには思うんですけど、5分アニメだったのでその時は特に興味を引かれるコトもなくスルーしていたっていう……。絵柄もデフォルメされた可愛らしい感じだったので、信長やその家臣達をキャラクターとしてだけ拝借した、ほのぼの作品なのかなーと思ってました。

が、原作マンガ読んでみたら思いの外しっかり史実の出来事が拾われており、むしろ自分の知らなかったコトなんかもたくさんあって驚き。織田家の親族やその家臣がしっかり描かれているのはもちろんなんですけど、敵対する大名もその家臣を含めてちゃんと描かれているのがステキ。浅井家の遠藤直経・磯野員昌や朝倉家の山崎吉家・真柄直隆とか。なにせ私、竹中半兵衛黒田官兵衛が時折ごっちゃになる程度の知識しか無いので、浅井家や朝倉家の家臣なんて全然知りませんでしたし。

一応、マンガのジャンルとしては四コマギャグというコトになるんですが、実質的にはほぼストーリーマンガですねコレ。四コマでありながら、シリアスなところはシリアスだしね。てか、延暦寺焼き討ちや小谷城攻略戦とかをギャグでは描けないよね、うん。むしろ、そういう信長の残虐性の発露とも取れるイベントも正面から描かれているコトに感心してしまったのです。

とはいえ、やっぱり四コママンガなので作品のテンポは軽快で、登場キャラクターは史実のツボは押さえつつもかなりデフォルメされて描かれているので、史実の細かいネタが扱われつつも読み進めやすいんですね。女性キャラクターなんかは史料も少ないせいか、いかにもマンガ的なキャラ設定になっているような気がします。特に帰喋(濃姫)。おかげで14巻もありながら一気に読めてしまったという。この硬軟織り交ぜたバランスの良さが一番の魅力。単なる娯楽作品としてだけでなく、信長の時代を概観するにも良い本なんじゃないですかねコレ。

主人公が信長に仕えるコトになった忍びの女の子という設定なので、当然信長に対する贔屓目が入ってはいるものの、この作品での信長は徹底した合理主義者として描かれており、これはこれで一面の真理であるようにも感じられます。しかしなんですね、身内や臣従を誓うものには寛大で、敵対するものには一切の容赦をしないという信長の振るまいって、モロにサイコパスのそれな気もするんですどね。時代の転換点に頭角を現す人というのは、得てしてサイコパス気質の強い人が多いとは思うんですが。

このマンガにおける秀吉もかなり人の良い感じで描かれていますが、『軍師 黒田官兵衛伝』で秀吉がどう変わっていくのかも興味深いところ。てか、個人的には秀吉って表面上は朗らかでも内面かなり腹黒いイメージを持っていたので、このマンガを読んでいるとその秀吉像が揺らいでしまって困ります(?)。

原作マンガがかなり面白かったので、アニメもまとめて観てみたいところではありますが……プライムビデオだと有料レンタルかdアニメストアチャンネルで配信されているのか……どうしよう。