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Kindleのメリット・デメリット、あるいは紙の本を買う条件

定期的に話題に上っている気もする、電子書籍と紙の書籍のメリット・デメリットのお話。

自分は電子書籍ストアはKindleだけ使っている状態なので、電子書籍Kindleという前提になっちゃいますが、今では本を購入する場合、大半をKindleで購入している状態。3年くらい前にはこんな記事も書いてました。

ただ、全部が全部をKindleで購入しているワケではなくて、一部紙の本で購入しているものもあります。この辺は自分の中でルールが定まっていまして、紙の本で買う場合を簡単にまとめるの以下のような感じ。

  • そもそもKindle版が無い
  • 10年後になっても読み返している可能性が高い(資料性の高い情報が記載されている等)
  • ビジュアルや図表がメインの内容になっている(マンガは別)
  • Kindle版が固定レイアウトで作成されている(ケースバイケース)

そもそもKindle版が無い

これはもうどうしようもない。Kindle版が無いなら買わなくていいやー、ってスルーしちゃうケースもあるんですけど、やっぱ読みたいなーって本は物理的に購入します。読みたくはあるけど今すぐに、って程でもない場合は、AmazonのページでKindle化のリクエストボタンを押してほしいものリストに突っ込んで放置したりするコトもわりとよくある。

10年後になっても読み返している可能性が高い

Kindleを始めとする電子書籍プラットフォームの大きなデメリットとして良く言われるのが、DRMフリーではないこと。データをローカル環境にバックアップ出来ないし、閲覧できるのは専用のアプリケーションからで無いとダメだし、それゆえその電子書籍プラットフォームがサービスを停止しちゃったら、その本自体も読めなくなる。Kindleは、規約で「販売しているのは読む権利であって本そのものではない」って断ってますね。

Kindleコンテンツは、コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません。

via: Amazon.co.jp ヘルプ: AMAZON KINDLEストア利用規約

まーKindleがいきなり予告も無しにサービスを止めるとは思っちゃいませんが、やはり年月が経ってもたびたび読み返すであろう、自分にとって資料性が高いと言える本はやはり物理的な本として手元に置いておきたいかなあ、とは思います。滅多にないけどね、そういう本。仕事関係の本なんかはそれに該当するのかもしれませんが、そういうのは会社のお金で買って、会社に置いておく感じだし。

DRMフリーの電子書籍であれば、この条件に該当しても電子書籍で購入してもいいなーと思います。ただ、世間的にDRMフリーの電子書籍ってIT系の専門書なんかがメインで、まだまだマイナーな存在なのが難点。

ビジュアルや図表がメインの内容になっている

当たり前の話ではありますが、電子書籍は読む端末によって表示される大きさが異なります。文字ばかり書かれている本ならば、行間や文字サイズが変更できるのでそんなに困るコトは無いワケですが、大きなサイズの写真やイラスト、あるいは図表が大量に使用されている本だと、読む端末によってモロに読みやすさが変わってきてしまう。

そういう本は、物理的な本の方が良いなーと思いますね。代表的なのは、写真集とかイラスト集とかね。こういうのはビジュアルそのものがメインコンテンツになるから、本を製作する側が意図したままのサイズで見られるというコトが大事になのではないかと思います。

マンガについては紙の本の判型が新書判・B6判がメインであり、iPadやFire HDで十分見やすいこと、またマンガは巻数が嵩むものも多く「物理的に場所を取らない」という電子書籍の恩恵を得やすいという性格上、この条件に合致はするものの対象外としております。

Kindle版が固定レイアウトで作成されている

これは上の条件と被ってくる部分がありますが、Kindleの本の中でもPDFのように固定レイアウトで作成されている本ってあるじゃないですか。これもやはり、読む端末によって読みやすさが変わってきてしまうので、Kindle版の購入を躊躇してしまいがち。あと、Kindleで本を読む大きなメリットのひとつとして、ハイライト(マーカーを引く機能)やメモを追加できる機能が挙げられるんですが、固定レイアウトの本だとこれらの機能も使えなかったりするので、Kindleで読む旨味がかなり減ってしまうんですね。だったら、物理的な本で購入した方がマシかなって。

ただ、それでも物理的に場所を取らないというメリットは残っているので、そんなにいつまでも読み返さないだろうなーって本は固定レイアウトでもKindleで買っちゃいます。

なお、これもマンガについては対象外。

それ以外の場合

これらの条件に合致しない場合は、Kindle版のほうを買います。

個人的に電子書籍を支持している一番の理由は物理的な制約から解放される、という点が一番。本棚のスペースを気にしなくて良い、あるいは何十冊の本をスマホに入れて持ち運べるのは素晴らしいメリットです。この「物理的に存在していない」という点を電子書籍のデメリットとして挙げる人もいて、それはそれで興味深いところではあるんですけどね。

例えば、本棚が本で埋まってないと寂しいだとか、貸し借りができないだとか、古本屋に売りに行けないだとか、自由にメモを書き込めないだとか、自分がどれくらい読み進めたのかを直感的に確認し辛いだとか。

本棚が本で埋まってないと気が済まない、というのはもう個人の趣味的な問題なので、そういう人は電子書籍を買うのは止めておきましょうとしか言いようが無い。日常的に他人と本の貸し借りをする人にとっては「貸し借りができない」っていうデメリットは大きい感じはしますが、私の場合日常的に本の貸し借りをするような知り合いが居ないためまったく問題ありません(威張れる話ではない)。

……てかアレですよ、知り合いに「この本面白いよ」って言われたら、その場でAmazon検索して、Kindle版があってそんなに高い値段じゃないなら、その場で買っちゃいますからねえ。自分が他人に面白い本を布教したいときはどうするんだ、というと、「この本が面白かったよ」とは言うけど、貸してまで布教したいとは思うコトがそもそも無いしなあ……。

「古本屋に売りに行けない」というのも、デメリットになるかどうかは人によるかな。自分も昔は読まなくなったコミックとかを新古書店に売りにいってましたけど、大量のマンガを店まで持っていく手間と査定の待ち時間がどうにもかったるく、今では読まなくなった本はまだキレイな状態であっても捨ててしまってます。出張買い取りしてくれるとこもあるみたいですけど、なんかそれはそれで気が引けるんですよね。どうせ大した金額にならないの分かってるし。

電子書籍だとメモが書き込めない」と言う人もいますが、先にも述べたようにKindleだと気になったところにマーカーを引いたりメモを記入するコトができ、あとからそれらを一覧表示し、該当ページにジャンプするコトができます(固定レイアウトだとできない)。これはKindleの大きなメリットだとも思っていて、一度通して読んだあとにハイライトした箇所をざざっと読み返すコトで、より本の内容が頭に残りやすくなります。それに紙の本だと、電車の中で読んだりしてるときにマーカー引いたりメモ書いたりし辛いじゃないですか?

DRM付きでデータのバックアップもできず、プラットフォーム側の都合で一方的に提供を打ち切るコトもできるのに、紙の本と同じような値段で売られているのはおかしい……という指摘をする人も居ますが、それでも「物理的に場所を取らない・検索性が高い・ハイライトやメモをデジタルデータとして複数端末で共有できる」といったKindle版のメリットは大きいと思っており、それがKindleで本(を読む権利)を購入する理由ですね。もちろん安い方が嬉しいけどね?

固定レイアウトの本はあまりKindleで買う気になれないのは、Kindle版のメリットが削られてしまっている状態ゆえにコスパが悪いと感じてしまうから。固定レイアウトでも、DRMフリーならまあ良いか、と思えるんですけどね。音楽業界も紆余曲折を経てDRMフリーのデータ販売が当たり前になりましたけど、電子書籍業界はこの先どのような変遷を辿るのか、気になるところではあります。