波乱含みではあったものの、なんかダレ気味の展開でもあったような。F1モナコGP決勝。
決勝結果：
FORMULA 1 GRAND PRIX DE MONACO 2013 - The Official F1 Website
決勝後ドライバーコメント：
Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
決勝後記者会見：
FIA post-race press conference - Monaco - The Official F1 Website
メルセデス初勝利
とうとうメルセデス勝ちましたね。予選は速いのに決勝になると途端にダメになるという非常にわかりやすいキャラクターのマシンですが、モナコはタイヤへの負担が少ない上に追い抜きが難しいコース。つまり、レースで先頭に立てばレース全体のペースをコントロールしやすく、メルセデスにも勝ち目があるコースというワケで。
そしてスタートではフロントロウを独占したメルセデス2台がベッテルを完全にブロック。ベッテルはかなり良いスタートを切ったんですが、どこにも行き場が無かったですね。あのロズベルグとハミルトンのフォーメーションは見事だったなぁ。事前に打ち合わせてたんじゃないかってくらい。ウェバーは「今後の参考にさせてもらうよ！」みたいなコメントしてますね。
Seb and I had nowhere to go, so we were lifting while Nico and Lewis looked like they had tricky ones. We will save some of those starts for future reference!
via: Mark Webber:Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
しかしまー、スタート後もロズベルグのペースメイキングは見事でした。タイヤに負荷を掛けすぎず、一方でベッテルを張り付かせないペースを維持し、数度のリスタートも完璧にこなし。上位陣が皆1ストップ作戦を選び皆タイヤを労る方向で走っていたので、それもロズベルグにとっては好都合だったかも。
ハミルトンのピットストップのタイミングが遅れてしまったコトによりメルセデスの1-2フィニッシュはなりませんでしたが、ロズベルグだけ見れば完璧な週末だったんじゃないですかね。その分、端から見てるとレースペースが全体的に伸びきらず間延びした感じはしちゃいましたけど。ともあれ、メルセデスの今季初勝利、そしてモナコでの初勝利はめでたい。
一方、メルセデスがスペインGP後にピレリと行ったというタイヤ開発テストが違法であるとレッドブルとフェラーリが異議申し立てをしたコトが話題になってますね。
【STINGER】メルセデスとピレリのテストは違法？ >> F1 NEWS｜ニュース｜｜STINGER / 独自の視点でF1ニュースを発信
そもそもそんなテストやってたコト自体初めて知ったんですが、なんかFIAの声明だけ見てるとピレリとメルセデスの旗色悪そうですね。どういう経緯でピレリがメルセデスとテストを行うコトになったのかがようわからんのでアレですが、他のチームには一切声が掛からなかったのだとすると、公平性の観点から一悶着ありそう。
ただまー、このテストがあったからモナコでの好成績があった、というワケでもないでしょうけどね。しかしピレリはF1タイヤサプライヤー契約の更新を巡っても不満を表明しており、なんかこの辺の話がねじれるとさらにややこしい話になりそうで怖い。F1のタイヤサプライヤーがクムホとかになるのは勘弁して欲しいところですが。
ピレリ、2014年の契約をめぐってF1撤退をちらつかせる : F1通信
新たな特攻野郎
今回、勝ったロズベルグ以上に話題になっている感もあるのが、マクラーレンのペレス。なにせ彼、このオーバーテイクの難しいモナコで果敢なアタックを見せ、何度もシケインでヒヤッとするシーンを見せた挙げ句ライコネンと接触しストップするという特攻野郎ぶりを演じてみせてたので。
さらにはレース後、「キミは十分なスペースを空けなかった」とライコネンを批判。当然ライコネンブチ切れ。
It’s not the first time he’s hit someone in the race; he seems to expect people to be always looking at what he might do, then move over or go straight on if he comes into the corner too quick and isn’t going to make it without running into someone.
via: Perez and Raikkonen blame each other for collision - The Official F1 Website
アグレッシブなのは結構なんですが、今回のペレスはリスクを冒しすぎ。ライコネンとの接触なんて、半車身どころかリヤホイールとフロントホイールが並ぶところまでも行ってないワケです。んで、あのシケインのタイトなラインを考えるに「引かなきゃ当たる」のはわかってるハズなのに、ものすごいレイトブレーキングで突っ込んでいくのはやりすぎというかアホ。
あのペレスの走りは不調のマクラーレンにあって失うモノが無いからこそできる走りであって、ランキング上位のライコネンにしてみたらそれこそたまったモンじゃありません。アロンソは「セルジオのアプローチは2008年と2009年のチャンピオンシップを争っていなかったときの自分を思い出す」なんてコメントしてますね。
As for what Sergio did, I don’t have much to say, his approach reminds me of my own in 2008 and 2009, because when you are not fighting for the championship, you can take more risks, while for me today, it was important to finish the race and bring home as many points as possible.
via: Fernando Alonso:Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
マクラーレンのウィットマーシュはペレスを庇うコメントしてますが、もしマクラーレンがタイトル争える立場に居て、突っ込まれる側の立場だったら絶対相手を批難してるでしょ……。ルーキーがやるならまだしも、ペレスはもうそんな言い訳ができるほど経験浅くないハズです。
一方、特攻野郎といえばマルドナドですが（？）、彼は今回はなんと被害者に。チルトンに幅寄せされて接触、フロントが浮き上がったままバリアに突っ込む大クラッシュ。壊れたバリアがコースを塞ぎ赤旗中断になるという有様でしたが、マルドナド自身大きな怪我は無いようで一安心。これもなにやってんだかって事故ですが、これはまだ経験不足のチルトンが相手に気づかずやってしまったという点ではまだ弁解のしようがあるよーな気がします。
あ、そういやグロージャンも久しぶりにミサイルやっちゃいましたね。しかもその結果、次戦カナダで10グリッド降格というなかなかに重いペナルティ。
Grosjean handed Canada grid penalty for Ricciardo clash - The Official F1 Website
5グリッドではなく10グリッド降格とされたのは、彼の「前科」も勘案されての結果なんですかね？
沈んだフェラーリ
トップチームの中で一番見せ場が無かったのがフェラーリ。マッサはまたしてもタイヤがロックアップしウォールに突っ込むクラッシュを演じリタイヤ。ここまできたらいくらなんでもドライバーのミスじゃあるまい、と思ったら、決勝のクラッシュについてはメカニカルトラブルだとパット・フライがコメントしてますね。
クラッシュは土曜午前のフリー走行中マッサのミスにより同じコーナーで起きた事故とほぼ同じだったが、フェラーリの技術責任者パット・フライは、今回はマシンが原因だと強調した。
フライは「今日の事故は、3回目のフリー走行で起きたものと非常に似ているように見えるが、実際このふたつの事故は大きく異なる」と語った。
「昨日と違い、今日の事故はマシンの左フロント隅の問題が原因のようだ」
FP3の事故とは似ているようで全然違うらしい。ホンマかいなって気もしちゃいますが、なんにせよマッサにとっては散々なモナコGPになっちゃいましたねぇ。こちらも大きな怪我が無かったのが不幸中の幸いでした。
そしてアロンソはソフトでもスーパーソフトでもペースが伸びず、7位フィニッシュがやっと。トラクション不足に悩まされ続けていたみたいですが、今年好調だったフェラーリの決勝でのレースペースがここまで伸び悩んだというのは興味深いですねぇ。モナコはあまりに特殊なコースなので、ここがダメだったからといって悲観的になる必要もないんですが。
しかしライコネンとアロンソが沈んだコトで、ベッテルにとっては2位でも十分満足できる結果でしょう。これで現在ベッテルはライコネンに21ポイント差を付けてドライバーズランキングトップ。4連覇は十分に射程圏内ですが、しかしまーこのまま行かれても面白くないので、カナダでのフェラーリとロータスの逆襲に期待しましょう。
